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眼科 脳神経外科
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脳疾患を知る

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脳神経外科専門医・頭痛専門医による「頭痛外来」

国際頭痛分類では 300 種類以上の頭痛疾患が掲載されており、各々に診断基準が設けられ治療法、治療薬が異なります。漫然とした鎮痛薬投与は薬そのものによって頭痛が誘発される「鎮痛薬乱用頭痛」という頭痛に陥ります。そのため最初に正確な頭痛の診断が重要なのです。生命を脅かす頭痛は一定数確実に存在します。300種類以上存在する頭痛は大きく分けて以下の2つの頭痛に分類されます。まずこれらの分類が診断の一歩目となります。

    

①一次性頭痛

原因のない頭痛です。生命に関わる事は稀ですが正しい治療が必要です。これらの頭痛は以下の二次性頭痛が否定されて初めて診断が付けられます。二次性頭痛の検索を行わずに一次性頭痛の診断を行う事は危険な行為の場合もありますし、一次性頭痛の中には脳卒中発生リスクを数倍に増加させる頭痛も存在します。また治療に使用されるお薬の中には脳卒中や心疾患の既往のある方や脳血管に狭窄がある方には使用できないお薬があります。この点からもCTおよびMRIによる頭蓋内精査は必要不可欠な検査となります。

代表的な一次性頭痛   

片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛・一次性咳嗽性頭痛・一次性運動時頭痛・一次性雷鳴頭痛・一次性穿刺様頭痛・貨幣状頭痛・睡眠時頭痛などです)

    

②二次性頭痛

原因となる疾患が存在し、二次的に頭痛を引き起こしている頭痛です。二次性頭痛は生命の危険を伴う頭痛が存在しており、鑑別はとても重要です。CTは出血系の疾患に強いですが、小さな脳腫瘍や脳梗塞、血管病変の診断は困難です。次章にCTとMRIの違いを詳しく記載しましたが、CTとMRI両方揃って正確な診断が可能です。

代表的な二次性頭痛

(脳出血・くも膜下出血・脳梗塞・脳腫瘍・頭蓋内血腫・外傷・感染・薬物などが頭痛の原因 特に脳動静脈奇形という病気の存在は片頭痛発作や閃輝暗点を起こす原因として有名です)

 

二次性頭痛が否定されたならば、一次性頭痛診断のため頭痛の性状を詳しく知る必要があります

初診時の画像診断で命に関わる二次性頭痛が否定されたら、一次性頭痛の鑑別が始まります。二次性頭痛はCTやMRIを行えば結果が即座に出るので診断は容易ですが、一次性頭痛は検査が答えを出してくれないため頭痛の性状を詳細に見極める必要があります。初診時の問診票は非常に重要ですが、それだけで確定診断に至らないケースも多々あり頭痛手帳を付けて頂きます。頭痛手帳とは、日々の頭痛の様子や薬の効果を日記のように記載するツールです。頭痛の性状を自ら書き記すことにより予防や対策も分かってきますし、医師に正しい情報が伝わります。

 

頭痛治療薬の選択

診断がついたら次は治療の開始です。二次性頭痛の場合はその原疾患の加療を行います。外科的治療の対象となる場合は当院から紹介先を複数提示させて頂きます。一次性頭痛の場合は治療薬を開始します。典型的な症状の一次性頭痛の場合には最初から一人一人にぴったりの治療薬を提案可能ですが、非典型例や鑑別診断に苦慮するケースでは薬の効き方をお薬手帳で確認し、相談しながらお薬を変えていく場合もございます。お薬によっては脳血管、心臓の状態で使用することが出来ない薬がありますので、必ず服薬前の安全確認が必要です。また片頭痛患者は1.5倍心筋梗塞になりやすく、脳梗塞は2.3倍、脳出血は2倍と、それぞれリスクが高いことが判明しているため定期的にMRIのチェックが必要です。基本的にはお薬の選択は以下の2点から考慮します。

①急性期治療薬・・・頭痛発作がおこった時になるべく早く頭痛を鎮めるためのお薬

②予防治療  ・・・毎日お薬を飲んで頭痛発作を起こりにくくし、起こっても軽くするお薬

 

ご自分で出来る頭痛の予防

①頭痛手帳の記録:ご自身で詳細にご自身の頭痛と向き合うと確実に頭痛の予防や対策に繋がります。

②適切な運動:生活習慣病、肩こり、ストレスが関わる頭痛も多いです。ストレッチ、運動も重要です。

③適切な睡眠:睡眠不足のみならず睡眠過多も頭痛のリスクになります。

④適切な食事、飲酒:アルコールやチョコ、柑橘類、刺激物が頭痛を誘発します。

⑤正しい知識を知る:正しく頭痛・お薬と向き合えば必ず頭痛は軽快します。

頭痛治療薬の目標

正しい頭痛との向き合い方と適切なお薬の内服を行えば頭痛は必ず軽快します。しかし慢性的な頭痛に悩まされ、日常生活を障害されている方の頭痛を完全にゼロにする事は困難な事が多いのも事実です。しかし正しい知識を自分や周囲が理解することで、頭痛の回数を減らし日常生活を支障なく送れることが1つのゴールとも見なせます。たとえ発作が出現しても、自分自身に最適な頭痛薬を持参していれば頭痛を軽快させて日常生活に戻ることが可能です。また最適な薬が見つかり、持参し、対応が可能な事が分かっていると安心感が芽生えて頭痛の発作自体も減少します。また予防薬の内服によって頭痛回数の減少や頭痛強度の減少は生活の質を上げることに繋がります。頭痛薬は以前と比べ大幅に改良され、副作用が少なく安心できる薬が多いのです。正しい付き合い方さえ理解していれば過度に恐れる必要はありません。次章では先に述べた一次性頭痛と二次性頭痛の違い、CTとMRIの違いについて解説して参ります。

 

なお

2021年4月より、新しいタイプの片頭痛治療薬「エムガルティ」が登場しました。片頭痛の治療薬には、頭痛を止めるための急性期治療薬と、頭痛の発作を抑える予防薬があります。予防薬の内服によって片頭痛発作のコントロールが取れる方も大勢いらっしゃるのですが、残念ながらコントロールがなかなか上手く取れない方もおります。この新しい治療薬「エムガルティ」は、予防薬になります。月1度の皮下注射で片頭痛発作の日数、片頭痛急性期治療薬の使用量が減らせるお薬です。

現在、厚生労働省かガイドラインでは注射を行える医師、施設に厳しい基準が設けられております。当院では日本脳神経外科学会専門医および日本頭痛学会専門医が常勤しております。またCTおよびMRIが院内に常設されているため、エムガルティ投与前の二次性頭痛の鑑別および脳血管の状態を把握した上で安全に投与を行う事が可能です。お気軽にご相談下さい。

なお「エムガルティ」についてもっと詳しく知りたい方は以下のページを参照下さい。

https://kuwana-sc.com/brain/1736/?preview_id=1736&preview_nonce=69cabee3df&preview=true