眼科 脳神経外科
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脳疾患を知る

11-1
三叉神経痛(典型的)

特徴・分類・診断基準

  • 特徴

顔の感覚を脳に伝える神経が三叉神経です。この三叉神経に痛みが起こり、顔を痛く感じるのが三叉神経痛です。長くても数秒の激しい電撃痛が三叉神経支配領域(顔全般・特に眼の下や頬周り)を襲います。痛みのない間欠期が存在し、洗顔、髭剃り、喫煙、会話、歯磨き、食事など、ささいな刺激により誘発されます。鎮痛剤はほとんど効果なく、抗けいれん剤のテグレトールが効きます。これらの特徴を有するものを典型的三叉神経痛に分類し、そうではないものを、非典型的三叉神経痛に分類します。

  • 分類

①典型的・・・血管が神経を圧迫している三叉神経痛

②二次性・・・脳腫瘍・脳動静脈奇形・多発性硬化症など原因疾患に伴い生じる三叉神経痛

  • 診断基準

A.三叉神経分枝の1つ以上の支配領域に生じ、三叉神経領域を超えて広がらない一側性の発作性顔面痛を繰り返し、BとCを満たす。

B.痛みは以下のすべての特徴を持つ。

   ①数分の1秒ー2分間持続する

   ②激痛

   ③電気ショックのような、ズキンとするような、突き刺すような、または鋭いと表現される

  痛みの性質

C.障害されている神経支配領域への非侵害刺激により誘発される

D.ほかに最適なICHDー3の診断がない

痛み

  • 痛みの部位

顔の感覚を脳に伝える神経が三叉神経です。顔全体の痛覚、触覚、冷熱感を脳に伝えています。三叉という名前のように脳から出た一本の神経が途中で3本に分かれています。顔を三等分して眼より上が第1枝・目の下から口の上が第2枝・口の下が第3枝とそれぞれ支配する領域が決まっています。大多数の方はこの3本の枝のうち1本の支配領域に痛みが走ります。疼痛部位は特に三叉神経 第 2・第 3 枝領域に限局して生じる事が多く,経過とともに隣接部位に広がることがあります。第 2 枝領域が最も多く、次いで第 3 枝、第2・3枝合併、第1・2枝合併の順です。痛みが三叉神経第 1 枝領域に限局するのはまれで5%未満です。右側により多く認められますが、3 ~ 5%が両側性です。両側性の三叉神経痛はまれな病態で、両側性の場合多発性硬化症など中枢性疾患の関与を考慮すべきです。

(痛みの性質)

三叉神経痛の痛みには特徴があります。痛みは非常に強い電撃痛ですが、突発的な痛みです。一瞬の走るような痛みで、数秒のものがほとんどです。ながく続いてもせいぜい数十秒です。長い痛みがジリジリ続くような事はありません。三叉神経痛では痛みはいろいろな動作で誘発されます。痛みのない間欠期が存在し、洗顔、髭剃り、喫煙、会話、歯磨き、食事など、ささいな刺激により誘発されます洗顔、お化粧、ひげそりなどで顔に痛みが走ります。患者は刺激を避けるために、飲食を避けて脱水症をきたすこともあります。発作後には痛みを誘発できない不応期が存在します。触ると痛みを誘発されるポイントがあり、鼻の横などを触ると、顔面にビッと痛みが走る、という場合は三叉神経痛の可能性が高いです。季節によって痛みが変動するのも特徴です。

原因と診断

  • 原因

三叉神経は顔の感覚を支配している神経です。神経は脳幹という場所から神経の線維を出し、脳槽という空間を通り、途中で3本の大きな枝に分かれます。そしてさらに細かい神経の線維を顔、頭の全体に伸ばし、それぞれを支配している神経です。原因の90%は血管による神経の圧迫が原因です。三叉神経が脳幹から出てすぐのところで、動脈や静脈が三叉神経を圧迫し、血管が拍動する事により、神経に強い刺激が加わり痛みを引き起こしています。また脳腫瘍(類上皮腫や神経鞘腫、髄膜種など)、脳動静脈奇形、多発性硬化症などが原因の事が10%ほどあります。

  • 診断

三叉神経痛の診断には、痛みの症状や病気の経過が分かれば三叉神経痛に慣れている医師ならば容易です。血管の圧迫による三叉神経痛なのか、脳腫瘍や脳動静脈奇形によって引き起こされた三叉神経痛なのか鑑別するにはMRIによる画像診断が必須になります。三叉神経にループを形成する血管の存在。脳腫瘍の存在。これらは非常に細かい神経と血管であるため画像所見だけでは証明できない場合もあります。症状と画像診断を合わせた専門的な診断を行わなければなりません。

治療

第一選択薬はカルバマゼピン(テグレトール)です。一般的に初期には投薬はよく反応します。しかし、根本的な治療ではありません。痛みを完全にコントロールできない場合や、再発してしまったりする事があります。難治性の場合は、微小血管神経減圧術という外科的治療を行います。手術により神経を圧迫している血管を神経から剥離して、神経の圧迫を解除する方法です。手術治療は原因を取り除く根本的な治療です。