眼科 脳神経外科
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脳疾患を知る

7-3
緊張型頭痛-抗不安薬-

抗不安薬について

アセトアミノフェン・NSAIDs・トリプタンについて片頭痛の章で詳しく記載しましたように、ここでは抗不安薬について扱いたいと思います。

抗不安薬とは即効性のあるリラックスできるお薬として、しばし使用されています。緊張型頭痛では、このリラックスできる作用と筋肉の緊張をほぐす作用を期待して用いられています。現在わが国で使われている抗不安薬は、ほとんどがベンゾジアゼピン系と呼ばれるお薬です。その他、アザピロン系のセディールというお薬が使われることもあります。

代表的なベンゾジアゼピン系のお薬は効果時間によって分類されています。

短時間型:  グランダキシン・リーゼ・デパス
中間型:   ワイパックス・ソラナックス/コンスタン・レキソタン
長時間型:  セルシン/ホリゾン・リボトリール/ランドセン・セパゾン
超長時間型: メイラックス・レスタス

といったお薬が代表的なお薬になります。

緊張型頭痛で保険適応になっているお薬はエチゾラム(デパス)というお薬1種類のみです。抗不安薬は、うまく使うと非常に有効なお薬である一方で依存などの心配をする方も多いのでこの章では少し詳しく抗不安薬について触れます。理解をふかめて納得してお薬を使っていただくことで、お薬をうまく活用できます。

作用

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、記憶や情動に関係する大脳辺縁系と呼ばれる脳の内側に作用します。そして主に4つの働きが期待できます。

①抗不安作用 ω2

②筋弛緩作用 ω2

③催眠作用  ω1

④抗痙攣作用 ω1

この作用の横に書いたω1とω2とは、お薬が作用するGABA-A受容体(ベンゾジアゼピン結合部位)には、おもにω1とω2の2種類があります。ベンゾジアゼピンというお薬でもω1に強く作用するお薬とω2に強く作用するお薬があります。ω1に強く作用するものは睡眠薬として使用され、ω2に強く作用されるものは抗不安薬として使用されております。睡眠薬についてはまた別の機会で説明して参ります。

使用法

精神科や心療内科では不安感、緊張感が非常に強く、生活に支障が生じている際に、不安感、緊張感を抑えるために使用します。緊張型頭痛では抗不安作用と筋弛緩作用といって凝り固まった筋肉の緊張をほぐすために使用されます。

  • 効き目の時間による使い分け

効き目が短いものから長いものまで4つに分類します。それぞれ短時間、中間、長時間、越長時間。短時間型や中間型のお薬は、早くに効果が現れる事を期待して使うことが多いです。それに対して超長時間型は飲み続けていくことで全体的に落ちつかせていくお薬です。

  • 作用効果による使い分け

お薬も数多くの種類がありますが、それぞれのお薬が①抗不安作用②筋弛緩作用③催眠作用④抗痙攣作用のどの作用に強く効くのかバランスが異なります。これらを考えて抗不安薬は使い分けています。不安が非常に強く頓服使用して不安を押さえたい時には作用時間が短く抗不安作用が強いものを選びます。するとデパスやワイパックスが向いていると判断できます。

副作用

大きく分けて3つの副作用があります。

①眠気

②ふらつき 脱力

③依存性

  • ①眠気

催眠作用を持っているため、眠気が強く現れる場合があります。慣れてくる場合もあるので少し様子をみることも対処の一つですし、就寝時間前の服用に変更するなども一つの対策です。他には減量、中止、多剤に変更といった対応をします。

  • ②ふらつき 脱力

作用の一つに筋弛緩作用があります。緊張が強く頭痛や肩こりなどがある方にはプラスに働きますが、筋肉の緊張を緩めることで、ふらつきや脱力感となってしまうこともあります。ふらつきは高齢者では転倒の危険性が上がります。よって筋弛緩作用が強いお薬は基本的に処方しません。

  • ③依存性

依存には2種類の依存があります。身体依存と精神依存です。

身体依存・・・お薬に体が順応することです。つまり飲み始めた頃の量だと効果を感じられなくなってしまう事です。

精神的依存・・お薬に気持ちが頼った状態です。「お薬がないと不安」という気持ちです。

 

  • 抗不安薬の副作用
       ①眠気   ②ふらつき   ③依存性 

副作用対策

怖い副作用のお話をしましたが抗不安薬を使用した人が全員依存症になってしまう訳がありません。お酒を飲む人が全員アルコール中毒になりません。どんな人がアルコール中毒になるのか考えるとヒントがあります。『飲む量が増えていく』『朝も昼も飲んでしまう』『毎日毎日お酒を飲む』要するにお酒と正しい付き合い方が出来ていないのです。

抗不安薬も同じです。抗不安薬は、すぐに効いてくれて効果があるお薬です。つらい症状を和らげてくれたり、不安や恐怖をコントロールする後押しをしてくれるお薬です。お酒も正しい飲み方をすればリラックス出来て、会話や料理を楽しめます。抗不安薬も正しい用法用量を守って使用すれば依存や中毒にはなりません。

  • ①出来るだけ少量を短期間使用する

  • ②お酒と一緒に飲まない

この2点を注意すれば過度に恐れる必要はありません。

 

抗不安薬をやめるとき

抗不安薬を使い続けると、先程説明した身体依存が多少なりとも形成されていきます。その状態でお薬を中止すると、離脱症状が出現してしまうことが少なくありません。そのため少し時間をかけて止めていく必要があります。1-2週間ごとに少しずつお薬を減らしていく漸減法・内服する間隔を少しずつ伸ばしていく隔日法・作用時間の長いお薬に少しずつ置き換えて、その後に減薬を行っていく置換法と3つの減薬方法があります。

妊婦・授乳への影響

FDA(アメリカ食品医薬品局)分類とは各国規制当局による医薬品の胎児に対するリスク分類基準の事です。胎児へ与える危険性をA,B,C,D,Xの5段階に分類しており、Aは胎児に対するリスクが認められないもの・BとCは潜在的リスクを否定できないもの・DとXはヒトで胎児に対する有害作用が確認されているものです。A~Dは,医薬品のベネフィットがリスクを上回る場合には使用可能ですが,Xは,いかなる場合でもリスクがベネフィットを上回るため,妊婦への使用は禁忌とされている基準です。しかし2015年6月以降,FDAはこの5段階分類を廃止しています。抗不安薬のFDA分類では、ベンゾジアゼピン系はすべてリスクDに分類されています。これは過去に「口唇口蓋裂」との関係が疑われていたためで、現在では奇形のリスクはほぼないのではないかと考えられるようになっています。

次にHale分類とはThomas W. Hale, Ph.D による分類の事です。 授乳危険度分類を 最も安全なL1から比較的安全なL2、中等度の安全性であるL3、有害な可能性があるL4、使用禁忌のL5の5つに分類しています。比較的安全と分類されていますが、国内での国立成育医療研究センターのホームページ内にある授乳中安全に使用できる薬の項目にも挙げられてはおりません。一方、妊娠後期~の服用では注意が必要です。お薬がお腹の中の赤ちゃんにまで効果を示してしまい、筋脱力した状態で生まれてきたりすることがあるようです。出産先の担当医に服薬のことをしっかり伝えておくことが大切です。