眼科 脳神経外科
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脳疾患を知る

3-1
急性期治療(消炎鎮痛剤)

アセトアミノフェン

代表的な解熱鎮痛剤は大きく分けて2種類あります。

①非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)・・・・・・・一般的な鎮痛剤

②非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)以外・・・・・アセトアミノフェンなど

に分けられます。

アセトアミノフェンは非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)以外の代表的なお薬です。非常に実績のある安全性の高い解熱鎮痛薬です。解熱作用・鎮痛作用は有しますが、後述する非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) と異なり、抗炎症作用はほぼ有していません。アセトアミノフェンの鎮痛効果は一般的なNSAIDsと比べるとマイルドです。そのため、痛みが強い場合、解熱鎮痛薬としてはアセトアミノフェンよりもNSAIDsが好まれる傾向にあります。しかしNSAIDsは小児や妊婦に使用できなかったり、インフルエンザの時に使っても「インフルエンザ脳症」が起こる危険があります。一方アセトアミノフェンは安全性が高く、小児や妊婦にも使用できるお薬です。稀ではありますが、アセトアミノフェンの副作用として肝障害には注意が必要です。

アセトアミノフェン・・・妊婦・小児にも使用可能な安全性高く安価な鎮痛剤・効果はマイルドで抗炎症作用は持たない

非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs) -概要-

NSAIDsとは、非ステロイド性の消炎鎮痛薬(Non-Steroidal Anti- Inflammatory Drug)のことです。英語綴りの頭文字からNSAIDs(エヌセイズ)と呼ばれることもあります。ステロイド以外のお薬で、抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を持つ薬剤の総称です。先述したアセトアミノフェンが持っていない抗炎症作用を持ちます。いわゆる「痛み止め」として処方され、多くの方に親しまれているお薬です。ロキソニン・アスピリン・ボルタレンなどと言えば、一度は耳にした事があるのではないでしょうか。NSAIDsは、シクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素を抑制して、痛みの原因のプロスタグランジンという物質の生成を抑えることで痛みを鎮めます。この辺りの作用機序は難しくなるので詳しく知りたい方は成書を参考にして下さい。さてアセトアミノフェンと比較すると効果が強く、効き目を実感できます。しかし副作用はNSAIDsの方が多く見られます。消化管潰瘍、腹痛、嘔気、などの消化器症状の副作用は高頻度に出現しますが、後述するように様々な方法で消化器系副作用はかなり軽減できています。他には、そこまで頻度は高くないものの喘息発作、腎機能障害、血小板機能障害(出血傾向)いったものがあります。また多くのNSAIDsは妊娠後期、小児、インフルエンザの際には使用出来ず、そのような状況では第一選択薬はアセトアミノフェンとなります。

さてNSAIDsは非常に多くの種類のお薬が発売されていて、この場は一つ一つのお薬を理解するのが目的の場ではないので聞き覚えのあるような代表的なNSAIDsだけの説明してまいります。

NSAIDs・・・効果は強く、炎症を抑える作用も持つ。消化器系副作用を持ち、妊娠後期、小児には使用が難しい

アセトアミノフェンNSAIDs
解熱
鎮痛
抗炎症
副作用肝機能障害消化管潰瘍 アスピリン喘息 腎機能障害
代表的な内服薬アセトアミノフェン カロナール アンヒバロキソニン ブルフェン ボルタレン セレコックス
代表的な注射薬アセリオロピオン

NSAIDsの分類

NSAIDsを分類するのにあたって、薬の種類も多く分類法も多いお薬です。しかし異なるグループでは異なる特性を持つために幾つかの分類ごとに説明していきます。

厳密を必要とするわけではありませんので、飛ばして読んでも構いません。

 

  • ①お薬の構造の相違から、効果や副作用に違いが現れます。お薬の構造による分類を行います。
  • ②消化器障害の副作用が多く、薬の形状から副作用の差があります。形状による分類を行います。
  • ③最後に効き目の長さによる分類をします。

 

これらの分類を考えてお薬を選択すれば、多くのお薬からご自分もしくは患者様にぴったりのNSAIDsを選ぶ事が可能となります。

①非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs) -分類(構造から)-

  • サリチル酸系  代表的薬・・・アスピリン(バイアスピリン)

低用量で鎮痛作用と抗血小板作用を示すが、高用量では副作用発現の頻度が高いです。抗血小板作用というのは『血をサラサラにする』作用です。そのため心筋梗塞や脳梗塞の予防に使用される事が多いお薬です。副作用は消化器障害、腎障害の頻度が高いです。小児のインフルエンザへの投与はライ症候群などの致死的な副作用を引き起こすため禁止されていたり妊婦・小児には使用しにくいお薬です。

  • アントラニル酢酸系  代表薬・・・メフェナム酸 (ポンタール )

比較的強い鎮痛作用を有するNSAIDsです。しかし抗炎症作用は比較的弱く、副作用として下痢や溶血性貧血を起こ すことがあります。

  • アリール酢酸系(フェニル酢酸系) 代表薬・・・ジクロフェナク(ボルタレン)

他のNASAIDsと比べて強力な消炎、鎮痛、解熱作用を期待できるお薬です。しかし胃部不快感や消化管出血の頻度が比較的高いお薬です。

  • アリール酢酸系(インドール酢酸系) 代表薬・・・インドメタシン(インダシン)  クリノリル(スリンダク)

鎮痛作用が強いですが、COX1阻害作用が強く胃腸障害が多いといわれています。

しかしクリノリルはプロドラックというお薬のタイプです。後述しますが、プロドラッグとはお薬そのものに活性がなく体内で代謝を受けて初めて作用を有するお薬の事です。そのため副作用が少ないNSAIDsとなります。

  • アリール酢酸系(ピラノ酢酸系) 代表薬・・・エトドラク(ハイペン)

COX2に選択性が強く、消炎、鎮痛、解熱作用のバランスが良いお薬です。

  • プロピオン酸系 代表薬・・・ロキソプロフェン(ロキソニン)・イブプロフェン(ブルフェン)

使いやすいお薬が多いです。鎮痛・抗炎症・解熱作用をバランス良く持っている一方で、胃腸障害などの副作用の発現頻度は比較的低いお薬です。ニューキノロン薬というタイプの抗生物質と併用すると痙攣が起こるとい う副作用の報告があるために併用は禁止されています。ロキソプロフェンはプロドラッグのため胃腸障害が少ないと言われています。イブプロフェン(ブルフェン)は常用量では鎮痛作用のみで、抗炎症作用は弱いお薬です。フルルビプロフェン(ロピオン)は鎮痛効果発現が20分と速やかなお薬です。

  • オキシカム系 代表薬・・・メキシカム(モービック)

消炎、鎮痛、解熱作用の強力で、半減期が28時間と長いお薬です。また胃腸障害は一般的なNSAIDsより少ないお薬です。しかし半減期が長いことから高齢者や腎・肝機能障害患者の投与は注意が必要です。

  • コキシブ系 代表薬・・・セレコキシブ(セレコックス)

炎症や痛みに関連するのは主にCOX-2ですが、古典的なNSAIDsはCOX-2だけでなく臓器維持に必要なCOX-1も阻害するために胃腸障害や腎障害などの副作用を生じると考えられていました。そのため、COX-1に比べてCOX-2を選択的に阻害するCOX-2阻害薬が開発されました。このお薬は選択的COX-2阻害薬です。そのため消化器障害、出血傾向の副作用は少ないお薬です。

  • 塩基性 代表薬・・・チアラミド(ソランタール)

プロスタグランジン系には作用しないため、作用は弱いが副作用も少ないお薬です。

 

②非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs) -分類(形状から)-

初めにNSAIDsで消化器障害が多発する理由を説明します。原因はNSAIDsがCOXと呼ばれる物質全てを押さえ込んでしまうからです。炎症や痛みに関連するのは主にCOX-2という物質です。しかし2という名前から察する事ができるようにCOX-1という物質も存在します。そのCOX-1という物質はプロスタグランジンという物質を作ります。このプロスタグランジンの作用は①胃の粘膜を保護する②腎臓の血流を保つ③血を固める血小板を助けるといった作用があります。つまり胃のなかでNSAIDsによって痛みに関わるCOX-2だけでなくCOX-1も一緒に抑制されてしまうと,胃粘膜を守るのに必要なプロスタグランジンは減少してしまいます。これが消化管障害発症の原因なのです。そこで消化器系副作用を減らすために、「プロドラッグ」の開発と「選択的COX-2阻害薬」の開発がすすみました。これらの詳細はもう少し先に説明します。また胃腸障害が多いのであれば、「口から内服しなければ良いのでは?」という考えから坐薬・経皮吸収剤・注射薬も利用されています。

  • 徐放剤

薬物の吸収時間をコントロールすることで,得られる利点は多くあります。たとえば、吸収が早く、最高血中濃度に達する時間が短い製剤は、即効性が期待できます。逆に吸収が遅くて最高血中濃度に達するまで時間を要する製剤では、血液内で薬が一定の濃度を保つ時間が長いため慢性的な炎症や痛みに対して有効と言えます。このような考えから薬の吸収速度をゆっくりにして副作用を軽減する方法が考えられました。徐放剤とは製剤からの有効成分の放出を遅くすることにより、服用回数を減らし、血中の有効成分濃度を一定に長時間保つことにより、副作用を回避する薬です。徐放性製剤は通常の製剤に比べて、長時間にわたって吸収されるため、間違 って多く内服してしまった場合や、製剤をかみ砕いてのんでしまった時など、 急激に薬の放出がおこり重大な副作用があらわれる危険性があります。のむ回数と量はお間違えのないようご注意下さい。

 

  • プロドラッグ・・・ロキソニン(ロキソプロフェン)・クリノリル(スリンダク)

プロドラッグとは、薬そのものに活性がありません。そのため効果も副作用もありません。体内に吸収されて肝臓で代謝を受けて初めて作用するお薬です。そのため胃腸粘液障害、腎臓機能障害は他のNSAIDsに比べて少なくなっています。

 

  • COX-2選択的阻害薬

なぜNSAIDsでは消化器障害が多発するかというと、NSAIDsがCOXと呼ばれる物質全てを押さえ込んでしまうからです。

炎症や痛みに関連するのは主にCOX-2ですが、その仲間のCOX-1という物質はプロスタグランジンという物質を作ります。プロスタグランジンの作用は①胃の粘膜を保護する②腎臓の血流を保つ③血を固める血小板を助けるといった作用があります。つまり胃のなかでNSAIDsによってCOC-2のみならずCOX-1 が抑制されてしまうと,胃粘膜を守るのに必要なプロスタグランジンは減少してしまいます。これが消化管障害発症の原因なのです。

そこで、この大事なCOX-1は抑え込まないで、炎症に関係するCOX-2だけを選択的に押さえ込むCOX-2阻害薬が開発されました。なお,COX-2 阻害薬は血小板凝集抑制による出 血傾向も少ない一方で、腎障害などの他の副作用は減らせることはない言われています。選択的 COX-2 阻害薬は,消化管障害発症については最も有効な製剤であると考えられています。

セレコックス(セレコキシブ)・ハイペン(エトドラク)・メロキシカム(モービック)などがその代表薬です。

その他のNSAIDsの中でもジクロフェナク(ボルタレン)・ロキソプロフェン(ロキソニン)・スリンダク(クリノリル)・イブプロフェン(ブルフェン)などはCOX-2の選択性が強い部類になります。

 

  • 座薬

坐薬は肛門から入れて直腸で吸収される薬のため、胃腸障害が軽減されます。胃に直接作用せず、吸収が早いため、痛みを急速に止める必要がある場合や、経口薬では胃腸障害を起こす患者さんにも使われます。

2種類以上の非ステロイド性抗炎症薬を同時に使うことはすすめられませんが、坐薬に限って痛みが強い場合は併用が認められています。しかし坐薬といっても、吸収されれば胃の粘膜細胞に達しますので注意は必要です。

ボルタレン坐剤(ジクロフェナク)・フェルデン坐剤(ピロキシカム)

  • 経皮吸収剤

経皮吸収剤は軟膏・貼付剤・外用液と種類があります。軟膏剤ではボルタレンゲルやインテバンクリームなどがあり、貼付剤はモーラステープ やアドフィードなどがあります。

外用液はインテバン外用液などがあります。経皮吸収剤は,内服薬にくらべれば消化管障害などの副作用は少ないです。しかし効果が弱い他に、局所の接触性皮膚炎などの皮膚障害の可能性も指摘されています。

③非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs) -分類(半減期から)-

最後に半減期に基づいた分類を行います。半減期とは簡単に言うと『お薬の効果が半分になるまでの時間』と考えて下さい。身体に入ったお薬が代謝されて尿や便になって排泄されていきます。よってお薬が半分に減るまでに要する時間を示しています。半減期が短いということは薬物が素早く代謝・排泄されることを示し、結果、薬の効き目も短くなり、半減期が長ければ、薬が作用する時間が長いことを意味します。よって、薬の半減期は投与間隔を決める重要な目安とされています。

半減期の長いお薬は1日1回の服用で効果が持続します。代表薬 アルボ(オキサプロシン)・レリフェン(ナブメトン)・モービック(メロキシカム)

半減期の短いお薬は1日3回の服用が必要になります。 代表薬 ジクロフェナク(ボルタレン)・ロキソプロフェン(ロキソニン)・ イブプロフェン (ブルフェン)

片頭痛治療・非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の立ち位置

軽度~中等度の片頭痛に対し,痛みおよび随伴症状を有意に改善させます。軽度~中等度の片頭痛の第ー選択薬とされ ています。なお、トリプタン同様に発作の早期に服用しないと効果があまり認められないと言われています。

慢性頭痛の診療ガイドラインに

『推 奨 【グレードB】非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)は片頭痛の痛み,随伴症状を有意に改善させる。安全性も高く安価であることから,軽度~中等度の頭痛の第一選択薬となる。発作の出来る限り早期の投与が推奨される』と記載されています。