眼科 脳神経外科
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脳疾患を知る

2-8
片麻痺性片頭痛

解説

前兆とは5分から20分かけて頭痛の起こる直前または発作中に出現する症状です。
可逆性というのは『元の状態に戻る事』ですので、症状が永続しないで60分未満に元の状態に戻るという意味です。そしてこの脳局在神経症状という言葉が一番難しいですので具体的に記します。主な脳局在神経症状は4つあります。

①視覚症状 眼に現れる症状です。
②感覚症状 異常な感覚が出現したり、感覚がなくなる症状です。
③言語症状 言葉が上手く出ないなど言葉の症状です。
④運動症状 力が入らなくなってしまう症状です。

これら①②③④が片頭痛の前兆になりますが、④の運動症状のみは特殊な片頭痛になるため①②③とは別に考えます。

今回説明する片麻痺性片頭痛とは④の片頭痛発作の前兆が運動症状の頭痛のことです。具体的には身体が動かなくなったり脱力が生じ頭痛が起こるタイプの片頭痛です。片麻痺性片頭痛(HM) は 非常に稀な疾患です。海外での報告になりますが有病率は0.01%-0.03%と言われています。片麻痺性片頭痛は家族性片麻痺性片頭痛( FHM) と孤発性片麻痺性片頭痛に分類されます。簡単に言うと近い家族に同じ片麻痺性片頭痛の方がいる場合は家族性片麻痺性片頭痛でいない場合が孤発性片麻痺性片頭痛と言われます。家族性片麻痺性片頭痛の遺伝形式は常染色体優性遺伝形式をとり、その原因遺伝子としてCACNA1A (FHM1) , ATP1A2 (FHM2 ), SCN1A (FHM3 ) と3つのタイプがあります。ここでは詳しくは述べませんが、簡単に表にまとめました。詳しく知りたい方は成書をご参考にしてください。

片麻痺性片頭痛の症状は運動性の前兆(運動麻痺脱力)を認めることが最大の特徴であります。

A 1.2『前兆のある片頭痛』の診断基準と下記のBを満たす発作がある
B 前兆として下記の2項目の両方を認める
①完全可逆性運動麻痺(脱力)
②完全可逆性視覚症状、感覚症状、言語症状のいずれか1つ以上

(日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会 訳:国際頭痛分類 第3版)

となっています。つまり『前兆のある片頭痛』の前兆に脱力がある事は必須で、それに加えて眼の症状、感覚の症状、言葉の症状のどれか一つが認められる事が診断の根拠になります。麻痺という用語を使用していますが、麻痺という言葉は多くの国の言語で完全な麻痺を意味しますが、ほとんどの発作は脱力(不全麻痺)を特徴とします。多くの場合、左右どちらかの手に始まり次第に腕、顔面に広がるようです。左右どちらかの半身に限られる事が多いようですが、全身に広がるという報告もあり様々です。完全可逆性運動麻痺(脱力)の言葉の意味ですが、時間お経過とともに完全に元の状態に戻るという意味です。通常は72時間以内に回復しますが、一部の方で何週間も麻痺(脱力)が続いたという報告もあります。

好発年齢は10-20歳が多いと言われています。

治療

非常に稀な疾患のため治療に関する大きな試験が行われていません。多くの場合、血管を収縮させるお薬が使えない事を除いて、前兆のない片頭痛の治療原則に基づいて治療を行なっているのが現状です。つまり確立したものはないのですが、以下のような薬剤が使用された報告があります。

Flunarizine              (商品名:ミグシス)                    10mg・1回/日
Verapamil                (商品名:ワソラン)              120mg ・2-3回/日
Sodium Valproate   (商品名 :デパケン)        500ー2000mg・1回/日
Lamotrigine             (商品名 :ラミクタール)      100ー500mg・1回/日
Acetazolamide         (商品名 :ダイアモックス)  250ー1000mg・1回/日

血管を収縮させるお薬ですが、トリプタン製剤やエルゴタミンになります。これらは血管収縮作用があるため使用しない方が良いという考えもありつつ、使用してもそれほど危険ではないという報告もあり、一定していません。