眼科 脳神経外科
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脳疾患を知る

8-3
群発頭痛-治療-

治療総論

他の頭痛と同じように個々の発作を軽減・消失させる事を目的とした急性期治療と発作が起きる事を予防する予防治療があります。片頭痛では発作回数が頻回な場合、予防療法が行われます。それに対して、群発期には激烈な頭痛が頻回に起きて日常生活の質を著しく低下させるために、予防治療を行いながら、いざ頭痛発作が起こってしまった時に急性期治療を行い頭痛の軽減・消失させる戦略で対応します。

急性期治療

  • トリプタン

①スマトリプタン皮下注射

片頭痛の章で詳しく記載したトリプタンが群発頭痛にも効果があります。まずトリプタンの中で群発頭痛急性期には,スマトリプタン3 mg 皮下注射(1 日 6 mg まで)が急性期治療の第一選択薬となります。投与10分前後から効果が認められるほどの即効性があるうえに有効率も非常に高い薬剤です。2008年に自己注射キット(イミグラン キット皮下注)が発売され在宅でも簡単に使用できます。皮下投与は副作用も少なく,長期間使用しても有効性が減弱しないことが報告されています。皮下投与15分後には74%の症例で頭痛が減弱し、30分後には 77%の症例で頭痛が完全寛解を示したと報告され , わが国においても有効性が確立されているお薬です。副作用が少ないと記載しましたが、トリプタン特有の『トリプタン感覚』と言われる不快感は認めます。また注射ですので注射による痛み、発赤は伴います。

②スマトリプタン点鼻薬

スマトリプタンの皮下注射ができない場合は、スマトリプタン点鼻薬(イミグラン 点鼻液)を使用します。海外では、スマトリプタン6 mgの点鼻薬による鼻腔内投与(20 mg/dose)で、その有効性が報告されています。

③ゾルミトリプタン

ゾーミッグ経口投与も有効な場合が多いですが保険適応外です。日本では未発売ですが、ゾルミトリプタン点鼻薬が開発され群発頭痛の発作急性期に用いられています。

  • 純酸素吸入

100%純酸素を6-12L/分、フェイスマスクを用いて座位もしくは立位で10-20分間吸入させる治療法です。二重盲検ランダム化比較試験では,純酸素吸入群では約 80%に頭痛の改善がみられました。安全かつ有効な急性期治療として一般的に普及している治療法です。

  • オクレオチド

オクトレオ チドはソマトスタチンの持続性アナログで約90分と長い半減期を有します。保険適応となっていないことに加え、自己注射キットがないため実際に使用できる機会は少ないです。

予防治療

  • ベラパミル

カルシウム拮抗薬のベラパミル360 mg/ 日が予防効果を示すことが報告されています。また『慢性頭痛の診療 ガイドライン』では反復性群発頭痛でベラパミルが推奨されています。120 ~ 240 mg/ 日の投与量で効果が現れるまで一般的には2-3週間ほどの時間がかかります。効果発現まで時間がかかるので即効性がある予防薬ステロイドを併用する事があります。ベラパミルの副作用は徐脈や心不全を合併することがあります。なおベラパミルはわが国において片頭痛および群発頭痛での適応外使用が認められています。

  • ステロイド

副腎皮質ステロイドについてエビデンスは明らかではありません。しかし効果があると言われています。服用開始日から効果的と即効性があるのですが、長期投与による副作用の問題を考慮して、ベラパミルが効果を示すまでの初期治療として2 週間程度の短期間に用いるのが現実的な使用方法です。

  • 炭酸リチウム

炭酸リチウムは、ベラパミルが無効もしくは使用できないケースに使用します。『慢性頭痛の診療ガイドライン』では「慢性群発頭痛」のみ推奨されています。炭酸リチウムは、治療域と中毒域が近接しているため少量から開始し、維持量は200ー800 mg/日です。中毒予防のため、投与初期または増量の際に1週1~ 2回、維持量の投与中には月に1 回程度、早朝服用前の血清リチウム濃度を測定する事が勧められています。副作用は、甲状腺機能亢進や振戦がありますので注意が必要です。

  • エルゴタミン製剤

群発頭痛は就寝中に発作が起きるケースが多いです。そのため不眠に悩んでいる方に、就寝前にエルゴタミン製剤を1~2mg を服用することで予防効果を示します。副作用の問題と発作出現時にトリプタンが投与出来なくなる(24時間以内の併用禁忌)ためベラパミルが効果を示すまでの初期治療として用います。

  • 急性期治療
      ①スマトリプタン皮下注射・点鼻・ゾルミトリプタン ②純酸素
  • 予防療法
      ①ベラパミル ②ステロイド ③炭酸リチウム④エルゴタミン製剤