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脳疾患を知る

4-5
隠れ脳梗塞とは

解説)

脳梗塞の症状は『脳梗塞の大きさ』と『脳梗塞の起こる部位』で決まります。よって幸いにも小さい脳梗塞や重要ではない場所(あまり大事な仕事をしていない場所)に起こった脳梗塞は症状が出現せず、脳梗塞が起こった事を自覚しないで生活してる事が多いです。近年、MRI などの画像診断技術が飛躍的に進歩し、脳ドッグにおいて麻痺や意識障害、 言語障害などの症状があらわれない、小さな脳梗塞が偶然見つかるようになりました。このように症状が幸いにも出現しないで、本人が自覚のないまま過ごしている脳梗塞を「無症候性脳梗塞」または「隠れ脳梗塞」といいます。しかし、これは知らないで放置しても良いのでしょうか?

危険度)

脳梗塞の症状が現れて検査を行う以外の理由でMRI検査を行った場合(例えば脳ドックや頭部外傷の精密検査、頭痛などの精密検査)に偶発的に発見されます。健康な人でも加齢とともにその頻度が高くなり、老化現象のひとつとも 考えられています。無症候性脳梗塞を持った人は、脳を含めた全身血管が脆くなっているサインです。将来の脳卒中発症リスクは 4 倍 以上、認知症の発症リスクは 2 倍以上になるため、脳梗塞の危険な予備集団と考えられるようになりました。

原因)

無症候性脳梗塞を起こす最大の危険因子は、高血圧です。無症候性脳梗塞のほとんどを占めるラクナ梗塞は高血圧が長期にわたり続くことが原因であると考えられており、厳格な血圧管理が要求されます。また糖尿病や高コレステロール血症、心房細動、過度の飲酒、運動不足や喫煙、肥満なども危険因子として上げることができ ます。 糖尿病は脳梗塞の独立した危険因子と考えられ、脳梗塞がおこる頻度が糖尿病でない患者に比べて2~4倍高いことが知られています。

治療)

厳格な血圧管理が重要な治療になります。

正常血圧120/80を目標として食事運動療法・塩分制限・降圧剤を用いて管理します。また他の高脂血症・糖尿病・過度の飲酒制限・禁煙も必要となります。

無症候性脳梗塞の大多数を占めるラクナ梗塞の治療として、血をサラサラにする抗血小板剤の有効性は確立されていません。もちろん無症候性脳梗塞を認め他の精査の結果、アテローム硬化性病変や心房細動が発見されれば抗血小板薬や抗凝固療法も行います。しかしながら、ラクナ梗塞は細小血管のリポヒアリノーシスという変性を起こしており2割は脳出血として発症します。そのため副作用としての出血傾向から脳出血などの合併症をきたすことがある抗血小板剤や抗凝固剤 は慎重に投与されるべきだと考えられます。