眼科 脳神経外科
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脳疾患を知る

3-2
脳梗塞-心原性脳塞栓-

総論

「心臓」に原因がある脳梗塞です。通常心臓は一定のリズムで拍動しています。そのため血液はよどみなく流れます。ところが心房細動と呼ばれる不整脈があり、この不整脈は一定のリズムで拍動しません。そのため心臓の中で血液が止まり、よどんだ状態になります。血液の流れが止まると血液は固まる作用を持っていますので、心臓のよどみの中で自然と固まってしまいます。これで固まったものが塞栓といわれます。この塞栓が血液の流れに乗り、脳の血管に飛んでいき細い脳の血管で詰まってしまいます。この心原性脳塞栓症は脳梗塞の中で20~25%を占めております。また心臓内で出来た塞栓が、突然細い脳血管に詰まってしまうので、他のタイプの脳梗塞と比較して前触れなく突然発症し、梗塞巣が広範囲で重症になりやすいという特徴があります。心原性脳塞栓症の発症予防のためには、心房細動の早期発見、早期治療が重要となります。そのため心臓の検査が定期的に行われ、脳梗塞の予防と説明しながら心臓のお薬が処方されるのです。

心房細動

この血流をよどまして塞栓源(血の塊)を作る元凶の不整脈・心房細動は高齢者に多く、70歳をこえると5~10%の人に起こるといわれています。多くの場合、心房細動そのものが命に関わることはありません。脳梗塞を発症すると非常に重篤な症状、後遺症を残しますが定期健診、ドック等で心房細動が見つかれば脳梗塞を発症する前に元凶の心房細動を治療し脳梗塞を予防します。

治療・心原性脳塞栓症は発症してしまった場合

心原性脳塞栓症は、発症4.5時間以内の超急性期の場合には、t-PAといって脳梗塞の原因となった血管に詰まった血栓もしくは塞栓をとかすお薬の静脈注射療法の適応となります。このt-PAを使用することで、詰まった血管を再開通させ、脳に血液を再び送ることが可能となり、脳梗塞後の後遺症の程度が著明に少なくなる事が可能です。しかしその効果の反面、脳内出血を生じる危険性も高いため、tPAの加療は誰でも簡単に行えるわけでなく使用する側にも、治療を受ける側にも厳しい条件が定められています。tPA投与にて効果が無い場合には、直ちに脳血管内治療を行い、直接血栓を回収する治療が推奨されています。

治療・心原性塞栓症の予防

心臓の中に血の塊(塞栓)が出来にくくなる治療を行います。抗凝固療法といい、ワルファリンというお薬を使用するのがこれまでの標準的な治療でした。しかしワルファリンには問題点が非常に多く安全に使用するのが大変なお薬でした。

(ワルファリンの問題点)

  1. 頭蓋内出血など重篤な出血性合併症
  2. 定期的な採血と用量調整
  3. 薬剤抵抗性の患者の存在
  4. 相互作用を示す薬が多い
  5. ビタミンKが多い食事の摂取制限

そこで最近では、新規経口抗凝固薬(NOAC)と呼ばれるいくつかの薬が認可されました。現在、ダビガドラン(プラザキサ)、リバーロキサバン(イグザレルト)、アピキサバン(エリキュース)、エドキサバン(リクシアナ)の4種類が販売されています。NOACの利点は、頭蓋内出血の危険性が低い、採血、用量調節不要、食事や併用薬の影響がほとんどない、半減期が短く、効果の発現や消失までの時間が短い、などがあります。NOACの欠点は、薬価が高い、作用を中和する解毒薬がない、1ー2回の飲み忘れで効果消失などです。

心房細動自体の治療

心房細動では心房が小刻みに震えるため、血液の流れがよどみます。このため、血栓が形成され、はがれ脳血管に詰まってしまうと脳梗塞になります。また、心房細動になったとき、心房で起こる速い拍動のうちいくつかが心室に通してしまうため、心室も早い拍動になります。すると動悸や息苦しさが起こってきます。また続くと心不全になってしまいます。よって心房細動の治療は脳梗塞予防と薬剤で脈拍を調節するか、できれば心房細動を止めることとなります。脳梗塞予防のお話はしてきましたので、ここからは心房細動自体の治療のお話になります。

(心房細動自体の治療は「薬」か「焼く」治療になります)

心房細動を止めて発作を予防する薬には、ナトリウムチャネル遮断薬やカリウムチャネル遮断薬という薬があります。10種類ほどあり、心房細動の特徴に応じて使い分けます。

  • 電気ショック

心房細動が続き、お薬で止めることが出来ない場合は電気的除細動を行うことがあります。100ジュール前後の直流電流を、体に流して心房細動を止める治療です。静脈注射で眠ってもらい、その間に治療します。電気ショックで血栓が遊離して脳梗塞を発症するリスクがありますので、受ける前後に抗凝固薬を内服する必要があります。

  • カテーテルアブレーション

心房細動の根治治療として、薬物治療で症状が取れない方や、根治治療を希望される 方が適応になります。特に発作性心房細動の方に高い治療効果が期待でき、複数回の治療によって5年間で 80%程度の方に発作が起こらなくなります。

抗凝固薬と抗血小板薬の違い

よく抗凝固薬と抗血小板薬を混乱している方がおられるので簡単に説明します。

「動脈系の血栓に使用」・・・抗血小板薬

「血流の遅いところで起こる血栓に使用」・・・抗凝固薬

です。抗血小板薬は血小板の凝集を抑制します。主に動脈硬化に基づく血栓症(脳梗塞、心筋梗塞、 閉塞性動脈硬化症など)の治療・予防に用いるお薬で「動脈系の血栓に使用」抗凝固薬は凝固因子の働きを抑え、フィブリン血栓の形成を抑制します。血液の停滞によって生じる血栓症や塞栓症 (静脈血栓塞栓症、心原性脳塞栓症など)の治療・予防に用いるお薬で「血流の遅いところで起こる血栓に使用」