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脳梗塞-ラクナ梗塞-
ラクナ梗塞
ラクナとは湖という意味です。ラクナ梗塞は脳の深いところにある直径1mm以下の細い血管がつまるもので、あたかも水たまりのように見えることからこの名前が付きました。1mm以下の非常に細い動脈が詰まって梗塞になるので、脳梗塞の大きさも非常に小さく、通常サイズは3,4mmで、大きなもので15-20mmほどです。CT検査では診断困難でしたが、MRI検査で診断できるようになりました。
(症状)
梗塞自体は小さいのですが、手足の動きに重要な部分が障害されると手足の麻痺が重くなることがあります。以前にお話ししましたが、梗塞であろうと出血であろうと症状や重篤度を決定するのは「大きさ」と「障害部位」です。出血や梗塞のサイズが大きくても重要ではない部位の障害ならば症状は軽いですし、逆に出血や梗塞のサイズが小さくても重要な部位にピンポイントに障害を起こせば症状は重篤になります。基本的にラクナ梗塞は小さいのですが、重要な場所に梗塞を起こしやすいので重い症状が現れます。約2~3割の症例で症状が進行することがあります。
また以前はこの梗塞のタイプは細い血管がつまったものとしか認識されていませんでした。 しかし最近になり血管の壊死(もろくなったもの)により逆に小さな出血(微小出血)をしている症例もあることがわかってきました。梗塞(つまったもの)か微小出血(血が出たもの)かの判定にMRIのT2*(T2スター)という条件で撮像することによりわかるようになりました。脳の深部の極めて細い血管(穿通枝と呼ばれる血管です)がつまるタイプの脳梗塞です。小さな梗塞が多発することが多く、無症状の微小梗塞(手足の麻痺などの症状が出ない無症候性脳梗塞)も多いようです。CT検査では診断は困難でしたが、MRI検査では明瞭に多数の小さな梗塞が診断できるようになりました。
高齢者に多く、症状は比較的ゆっくりと進行します。意識がなくなることはなく、夜間や早朝に発症し、朝起きたら手足のしびれや力が入らない(運動障害)、あるいは言葉が話しにくいといった症状に気がついて、病院に来られる方が多いようです。起こり方は通常緩徐で、段階的に悪化していきます。多発しなければ比較的軽症な場合が多いです。
(治療)
日本では、脳梗塞の中で最も多いタイプで、以前は脳梗塞の半数以上がこのタイプでしたが、最近その割合は減少しています。高血圧が最も重要な危険因子であり、他には糖尿病、脂質異常症、喫煙が重要です。再発予防には危険因子の発見・管理が大切です。
①降圧治療
高血圧のコントロールが最も重要です。もちろん、その他の生活習慣病もきちっと管理する必要があります。脱水は血液の粘度を高め、血液を固まりやすくすることによって、脳梗塞の引き金になります。したがって、水分不足に注意が必要です。
②抗血小板薬
プレタール(シロスタゾール)・バイアスピリン(アスピリン)・プラビックス(クロピドグレル)・パナルジン(チクロピジン)などの抗血小板薬を使用します。