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眼科 脳神経外科
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脳疾患を知る

7-3
動眼神経麻痺-概要-

解剖

(動眼神経核の部位)

動眼神経の核は脳の中脳上丘という場所の中脳水道腹側側、内側縦側MLFの背側に存在します。

 

中脳上丘・中脳水道腹側、内側縦側MLFの背側

 

 

 

(動眼神経の走行)

動眼神経核から出た動眼神経はくも膜下腔である中脳橋接合部である脚間槽を走行。後大脳動脈と上小脳動脈の間を通り、その後、内頚動脈-後交通動脈の脇を走行します。その後、海綿状脈洞に入り海綿静脈洞内外側壁上方を走行します。そして、上眼窩裂から眼窩内に入ります。

 

動眼神経核→脚間窩→後大脳動脈と上小脳動脈の間→内頚動脈-後交通動脈の脇→海綿状脈洞外側壁上方(内頚動脈の脇)→上眼窩裂→眼窩内

 

機能

動眼神経は主に3つの働きをしています。

 

①眼を動かす眼球運動

 

②瞼を開ける開眼

 

③瞳孔を調整する瞳孔調整機能

 

①眼を動かす眼球運動-

眼球運動には眼球周囲にある6つの筋肉が作用して眼を動かしています。これら6つの筋肉を外眼筋と言い、上直筋、下直筋、内直筋、外直筋、上斜筋、下斜筋の6つあります。上直筋、下直筋、内直筋、外直筋は作用が単純で分かりやすいのですが、上斜筋、下斜筋は作用がやや複雑です。注視方向は、水平、上下方向、のみならず回旋方向の3軸に対し常にコントロールされています。斜筋は眼球運動に伴うバランスをとっています。

 

 

 ・上直筋

眼を上に向ける上転作用を行う筋肉です。眼球が外転位では上直筋は上転させる作用ですが、眼球が内転位では眼球を内方に回旋させる内旋作用を示します。(動眼神経支配)

 

 

 ・下直筋

眼を下に向ける下転作用を行う筋肉です。眼球が外転位では下直筋は下転させる作用ですが、眼球が内転位では眼球を外方に回旋させる作用を示します。(動眼神経支配)

 

 ・内直筋

眼球を鼻側(内側水平)方向に向ける筋肉です(動眼神経支配)

 

 ・外直筋

眼球を耳側(外側水平)方向に向ける筋肉です(外転神経支配)

 

 ・上斜筋

内側を向いたときに目を下に動かす作用と外転位に眼球を内側に回転させる作用があります。上斜筋という名前ですが、下転作用があります。上斜筋は眼球上部を眼球に対して内側方向に51度斜めに付着しているため眼球が51度内転した位置で収縮すると、眼球を後方から引っ張る形になり、下転作用が最大となります。下直筋と協力して眼球の下転に作用します。(滑車神経支配)

 

 ・下斜筋

眼球の下から前に引くことになりますので,上転に作用します。さらに,後外側に付着し,内側に引きますので,外転と外側方回転に作用します。上転および外転作用があり、収縮すると眼球を上外側に向けます。(動眼神経支配)

 

 -外眼筋支配-

動眼神経の一つの働きである眼球運動は、上記の上直筋・内転筋・下直筋・下斜筋に指令を送ります。内直筋・下直筋・下斜筋は同側支配ですが、上直筋に対しては対側支配となります。

 

 ・内直筋・下直筋・下斜筋(同側支配)

 ・上直筋(対側支配)

 

②瞼を開ける-開眼-

 

次は動眼神経の働きの2番目 開眼について説明します。開眼とは瞼を挙げる事です、瞼を挙げる筋肉は

 

 上眼瞼挙筋

 

 ミュラー筋

の二つの筋肉が行っています。ちなみに眼を閉じる閉眼を行う筋肉は眼輪筋です。動眼神経は上眼瞼挙筋をコントロールしています。ミュラー筋は交感神経、眼輪筋は顔面神経がコントロールしています。大事なことは動眼神経は両側の上眼瞼挙筋を支配しています。

 

・上眼瞼挙筋 動眼神経(両側支配)

・ミュラー筋 交感神経

・眼輪筋   顔面神経

 

 

 

③瞳孔の大きさを調整する-瞳孔調整機能-

 

最後に瞳孔調整機能について解説します。瞳孔調整とはカメラの絞りです。明るくて光が多く入る眩しい状況ならば光の量を少なくするために瞳孔を小さくし、逆に暗くて光が少なく、多くの光を必要とする場合に瞳孔を大きくして多くの光を集めようとする機能です。このように目の中に入る光の量を調節するために、虹彩は伸びたり縮んだりして瞳孔の大きさを変えます。このとき活躍するのが瞳孔を縮める瞳孔括約筋と、瞳孔を広げる瞳孔散大筋のた働きです。人の目の場合、瞳孔の大きさは2~6mmの間で変化します。瞳孔の大きさ調整の中枢は先述した眼を動かしたり、瞼を挙上するために働いている動眼神経核とは異なります。それらとは別に独立して機能しています。その理由は瞳孔のサイズ調整は、入ってくる光の量に反応して自分の意志とは無関係に瞳孔の大きさを自動でコントロールしているからです。眼を動かしたり、瞼を開閉したりする自分の意志を伝える核と、自動運動を行う核は存在する場所が異なります。

 

    -眼に写った情景が通る2つの通り道-

 

    A  「ものを見る=大脳後頭葉で認識する」ルート

眼に入った情景・光は網膜に映り、網膜から視神経を通り、視索そして外側膝状体に入り、ここで神経を乗り換え、さらに光刺激の電気信号は視放線を介して最終的に脳の後頭葉に伝わり、像が映し出されています。これは眼に入った情景を脳で認識するための回路です。その情景を脳でより鮮やかに認識出来るようにするために、同時に光の量をコントロールする必要があります。

 

 網膜ー視神経ー視索ー外側膝状体ー視放線ー後頭葉

 

 

    B  「ものを見る際に行う光の量をコントロールする」ルート

 

眼に入った情景・光は網膜に映り、網膜から視神経を通り、視索までいくと外側膝状体には入らずに別のルートにいく経路があります。これが瞳孔を調整するための光の通り道です。瞳孔の大きさの調整は自分の意志とは関係なく行っているため、要は反射です。視索から外側膝状体には入らず視蓋前核→両側動眼神経副核(Edinger-Westphal核)→動眼神経(両側)→毛様体神経節(両側)→瞳孔括約筋(両側)というルートをとる反射弓があります。ポイントは片側の眼から入った光は両側の両側動眼神経副核(Edinger-Westphal核)に伝わり、両側の動眼神経に伝わり両側の瞳孔括約筋に働きます。これが直接対光反射と間接対光反射となります。対光反射とは、瞳孔に光刺激を与えると瞳孔が小さくなる反応を指します。光をあてた側の瞳孔反射を直接対光反射、反対側の瞳孔反射を間接瞳孔反射といいます。

 

 網膜ー視神経ー視索ー視蓋前核→両側動眼神経副核(Edinger-Westphal核)→動眼神経(両側)→毛様体神経節(両側)→瞳孔括約筋(両側)