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脳疾患を知る

7-2
複視の診察

最初に

この章を読まれている方は恐らく

 

①複視で悩んでいる患者さん自身

 

②複視の診療を行っている眼科の先生

 

③内科、神経内科、脳外科の先生

 

の方々が中心と思われます。

 

①複視で悩んでいる患者さん自身

複視で悩んでいる患者さん自身は、何科に受診をすれば良いのか悩んだ挙げ句ネット検索した結果、このホームページに辿り着かれた方。または現在進行形に複視治療を受けているが症状が一向に改善せず、診断が本当に正しいのか不安になっている方など様々だと思います。複視診療の入り口は眼科であることが多いのですが、出口は脳神経外科や神経内科であることが多いです。なぜならば複視は脳神経の病気であることが多く、命に直結する重大なサインの場合があります。また、結果眼科的に経過観察で良いような神経の虚血の場合は基本的には除外診断となるため頭蓋内精査や血液精査を行い危険な病気が否定されて初めて診断に結びつくケースが多く、診療している眼科の先生自身も一抹の不安を覚えながら診療に当たっているかと思われます。しかし一般的な(神経眼科を標榜していない町の眼科)眼科クリニックでは脳神経の疾患まで網羅することは不可能です。その場合は、小さなサインを拾って脳神経の専門医に紹介し、検査を行うのが一般的です。結果、複視治療の多くの出口は脳神経外科、または神経内科になります。しかし現実的には一般的な眼科の先生は非常に忙しい日常を送っており、複視以外の多くの眼科疾患の患者さんに朝から晩まで診療を追われています。また脳神経系を得意とする一般眼科の先生は少数で、どこを境に脳神経の医師に紹介すればいいのか悩み、躊躇した結果メチコバールやカルナクリンといったお薬が長期間、漫然と投与されているケースを散見します。「どこを境に紹介」「躊躇」といった感情は我々脳神経外科の医師から目の疾患で眼科の先生に相談する時にも生まれる感情ですので、気持ちは非常に分かります。しかし実は簡単に解決する方法があります。患者さん自身から直接「目の問題は先生に診て頂きたいのですが、脳神経も不安なので脳神経外科にも受診したいので紹介して頂けないでしょうか?」この一言で多くは解決しますので、相談してみましょう。

 

②複視診療を行っている眼科の先生

このホームページを読まれている眼科の先生は、神経眼科の専門の先生で「この脳神経外科医は神経眼科の事など全然分かってないな」と思いながら読まれている先生。または上述したように一般眼科の先生で脳神経系の事が得意ではなく、脳神経外科、神経内科に「どこを境に」紹介すれば良いのだろう?と思って読まれている先生方様々だと思います。基本的には複視は両眼性ならば全例紹介すべきと思います。単眼性でも眼科的に説明がつかないケースや心配ならば神経の専門家に紹介した方が患者さんは喜びますし、何も悩む必要はないと考えています。「複視があるため頭蓋内精査よろしくお願い致します。」の一文で十分だと思います。しかし、もう少し紹介状に脳神経系を疑う根拠を記載した場合や神経疾患としても複視を整理してみようと思い、このホームページをご覧になっている先生方には拙い文章ですが参考にして頂けましたら幸いです。

 

③内科、神経内科、脳外科の先生

さて脳神経外科や神経内科の専門医でこのページを読まれている先生は、様々な目的で閲覧しているかと思われます。「一度、複視についてまとめたい」「最近、複視の患者が多くMRIを撮影するが異常所見が認められず、次は何を疑い検査すれば良いのか?」「全て検査したが異常がない。患者にどう説明すれば良いのか?」「動脈瘤の手術が好きで、海綿静脈洞の巨大動脈瘤にHigh Flowしたいが複視は改善するのか?」などなど様々かと思います。複視診療の入り口は眼科であることが多いのですが、出口は脳神経外科や神経内科であることが多いと先述しました。つまり出口となる脳神経外科や神経内科の医師が複視治療の結論を出せないと、患者さん自身はもちろん紹介して下さった眼科の先生方に非常に不利益を被らせます。脳神経の専門医を標榜している以上、複視疾患については決して見逃さないようにしなければなりません。

桑名眼科脳神経クリニックの立ち位置

患者さんが複視を主訴に最初に受診する診療科は、ほぼ眼科になると思います。そして、恐らく一般的な眼科の先生は複視に苦手意識があるかと思います。それは何故かといいますと、複視の原因の多くは脳・神経・筋肉の疾患の可能性を除外する必要があるからです。眼科単一科診療のクリニックですと、正直複視は少々困る症状の一つかと思います。近隣に気軽に相談でき、かつ複視に慣れている脳神経外科医もしくは神経内科医がいる上にCT・MRIを撮影出来るクリニックがあればいいのですが、そんな都合の良い環境になかなか恵まれないのが現状かと思われます。多くの眼科の先生方は複視以外の症状を主訴にした大勢の患者さんの対応に朝早くから夜遅くまで追われています。複視が主訴の患者さんの100倍以上の数の「目の痒み」「目の痛み」「目が乾く」「視力低下」「飛蚊症」「視野欠損」の患者さんを診察しています。非常な多忙な時間を割き、複視について眼ー外眼筋ー神経接合部ー神経ー神経走行路における疾患ー脳幹ー脳までを考える時間的な余裕を取るのは難しいかと思われます。私も順天堂大学で眼科を1年学んだ経験および、現クリニックでの桑名院長の外来の忙しさを見ていると、眼科領域の疾患を否定出来れば神経を専門にする医師に委ねるのがベストの選択かと思います。当院は眼科と脳神経外科の複合クリニックで眼科専門医、眼科検査一式、脳外科専門医、CT、MRI、エコー、心電図、ABI、採血検査とほぼ同一クリニック内で診断可能なスペックが揃っているため、早期診断が可能です。もしお困りの事があれば、お気軽に当院に相談して下さい。眼科専門医もいるので単眼性複視であっても問題ありません。

診察手順 ①「単眼性か・両眼性か」

まず最初に「単眼性複視か両眼性複視か」確認しましょう。まず第1に単眼性複視か両眼性複視かを確認するところから始まります。単眼性複視の場合は眼に問題があるため眼科単独の検査で十分ですが、両眼性複視の場合は脳を精査が必要となります。

 

・単眼性複視

片目で確認した時にものが二重に見えたりする症状です。単眼性複視の原因としては乱視、白内障、水晶体や眼内レンズの脱臼などがあり眼科を受診することを勧めます。

 

・両眼性複視

片眼で見た時には正常に見えるのですが、両眼で見た時にダブって見える事を両眼性複視といい、真の「複視」と呼びます。原因は両眼が向いてる方向、すなわち眼位の異常や両眼の動き、すなわち眼球運動の異常が関係しています。対象物は両眼で見ることによって3次元的に立体感を認識しています。その立体感を認識するためには両側の眼球が正確に対象物に向かっていなければなりません。左右の眼球の向きに少しでもズレがあると左右の眼から入った情報を脳の中で上手く対象物の情報を重ね合わせること(融像)ができず2次元的な像が二つにずれて見えることになります。これこそが「両眼性複視」になる原因です。

 

「単眼性複視か両眼性複視か」確認

診察手順 ②「共同性か非共同性か」

両眼性複視であった場合、次に確認する事は斜視が共同性か非共同性か評価を行います。共同性か非共同性の鑑別は眼科の先生方は全員知っている内容と思いますが、脳神経外科医や神経内科医は意外に分かっているようで分かっていない先生も多いと思います。私もあまり理解していません。ここではまず斜視の説明からします。似たような言葉に斜位がありますが、違いを解説していきます。

 

斜視:

両眼の視線が一点に向かわない事です。片方の眼は目標とする方向に正しく向いているが、もう片方の方が目標とする方向からずれている状態です。両方の眼でものを見ることができていないため立体的にものを見ることができなくなります。目のずれる方向によって内斜視、外斜視・上下斜視があります。

 

斜視の分類:

斜視には共同性斜視と麻痺性斜視があります。

 

①共同性斜視:

外眼筋に麻痺がない斜視です。眼球を動かす筋肉のバランスが悪く、両眼の視線が一点に向かわない状態です。片方の眼は目標とする方向に正しく向いているが、もう片方の方が目標とする方向からずれている状態です。いくつかの特徴的な共同性斜視があります。

 

②麻痺性斜視:

麻痺性斜視とは眼球を動かす筋肉つまり外眼筋が麻痺してしまい、両眼の視線が一点に向かわない状態です。片方の眼は目標とする方向に正しく向いているが、もう片方の方が目標とする方向からずれている状態です。つまり筋肉の麻痺がポイントです。この場合は何故、筋肉の麻痺が起きたのか理由となる疾患を考えて検査しなければありません。共同性斜視として診断してしまった場合、生命に関わる重大な疾患を見逃してしまう可能性が非常に高くなります。筋肉の麻痺を起こすの理由として考える事は

 

 ①筋肉をコントロールする脳の疾患

 (脳腫瘍・脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など)

 

 ②脳から指令を受けた神経の疾患

 (神経鞘腫・動脈瘤・感染・腫瘍など)

 

 ③神経から筋肉の伝達の問題

 (重症筋無力症など)

 

 ④筋肉の問題

以上4つの可能性があります。つまり眼科単科では解決することが難しいケースが存在します。

 

 ー共同性斜視か麻痺性斜視化の見分け方ー

私は脳神経外科医ですので、この見分け方は正直詳しくありません。眼科の先生にお願いしているのが現実です。そのため詳しくは眼科の先生に確認して下さい。検査には3つの方法がありますが、詳しくは眼科の先生に聞くのが良いでしょう。当院では全て眼科の先生にお願いしております。

 ①遮蔽法:顔を正面に向けて視標を注視してもらいます。その後片眼を隠して、隠さない方の眼で動きの有無・方向・距離をみる方法です。

 ②赤ガラス法:顔を正面に向けてペンライトを注視してもらいます。その後片眼に赤いフィルタを置き、赤色とペンライトの距離を正面視・右方視・左方視・上方視・下方視で比較します。

 ③Maddox rod法:最も確実で簡便な方法です。詳しくは眼科の成書を参考にして下さい。

 

斜位:

斜位とは物を見るときなど意識すると両眼の視線が一致するものの、無意識のボーッとした時など見る対象物がない場合に、左右の眼が別々の方角を向いてしまうことをいいます。両目を開けたまま片目を覆っていただくと、覆われたほうの眼は楽な位置へ移動して休みます。この時に外側へ動くなら外斜位・内側に寄るなら内斜位です。斜視との大きな違いは両眼視機能は正常という事です。

 

「共同性斜視か非共同性斜視か」確認

「甲状腺眼症 ・重症筋無力症」確認

複視を主訴とした場合、必ず問診、視診時に以下の2つの疾患を頭の片隅において診察を進めると有用な事ががあります。

・甲状腺眼症

・重症筋無力症

特徴的なサインが出るので診察時に頭の片隅においているだけでサインを見落とさないで診断への近道が可能です。眼球の外転制限を見たとき診察に入り検査を行いますが、

 

 

 ①甲状腺眼症のパターンがないか

 

 ②重症筋無力症のパターンがないか

 

 

を頭の片隅におきながら検査をすすめます。仮にパターンがあれば各々の検査を行います。

 

甲状腺眼症の特徴

 

(訴えの特徴)

・上方視で悪化する複視

・午前中に強い症状

・眼の奥の痛み、充血、眼瞼腫脹を訴えるケース

・輻輳障害(近目が困難)を訴えることもあり、メビウス症候といいます。

 

(診察時の特徴)

 

眼球突出 

 その名前通り眼球が突出します。

 

眼瞼挙上 

 片側(耳側)眼瞼が挙上します。

 

眼瞼腫脹 

眼瞼が腫れぼったい場合も甲状腺眼症を疑います。

 

ギョロ目 

ダルリンプル症候ともいいますが、ギョロっとした目です。

 

Lid  Lag  :

下方視した際に、病側の瞼が下に下がらない症状です。

 

眼球運動制限 

下直筋が腫大するため上転障害が生じるケースが多いです。

 

視神経障害 

腫脹した下直筋により視神経が圧迫されるケースもあります。

 

複視で来院し、特徴的な眼の症状があれば眼部MRIと甲状腺関連の血液検査が必要です。

 

重症筋無力症の特徴

 

(訴えの特徴)

・夜間や疲労時に強い複視(日内変動)

・かすれ声や嚥下障害など

・眼瞼下垂合併

・閉眼障害

 

 

「甲状腺眼症 ・重症筋無力症の特徴」確認