眼科 脳神経外科
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脳疾患を知る

1-3
眼瞼痙攣

概要

眼輪筋の間欠性あるいは持続性の過度の収縮によって不随意的な閉瞼が生ずる疾患で、他の神経学的、眼科学的異常が原因となって いないものと定義されます。攣縮が他の顔面筋やさらに舌、咽頭、頸部筋にまで及ぶものをMeige 症候群と呼びます。局所的な神経ジストニアとして考えられています。両方の瞼が痙攣するタイプは眼瞼痙攣といいます。常に両眼がショボショボして瞬きが多く、室内でもまぶしく感じるためサングラスを使用しないと生活できない方もおります。進行すると開眼することが困難になり、自らの指で瞼を持ちあげるようになることもあります。他にも視野狭窄が現れたり、異常な皺が出現することもあります。瞬きは多いのですが、軽い瞬きやテンポの良い速い瞬きが困難です。顔面痙攣との鑑別点は両眼性であることや睡眠中には消失することです。しかしながら顔面痙攣も両側におこることは稀ですが0.5%以下に存在します。また眼瞼痙攣もごく初期に一側性に出現することがあり鑑別が困難な事があります。

症状

両側の瞼の痙攣
瞼の不快感
まぶしい
瞬きが多い
眼を開けづらい
瞼が下がる(眼瞼下垂ではなくcharcot徴候と呼びます)
眼が乾く
頭痛・抑うつ
人や物にぶつかる

疫学

40歳以降の女性に好発します。若年発症者では、薬物(抗不安薬、睡眠導入薬、抗精神病薬、ドパミン製剤、抗ヒスタミン製剤)が誘因となっていることが多く、ベンゾジアゼピン眼症と言われることもあります。自律神経失調症,うつ病の合併率も高いです。

誘発試験

①速瞬テスト

軽く、可能な限り速い瞬目を最低10秒間行います。強い瞬きのみで早い瞬きができなかったり、瞬きの最中に他の顔面筋の不随意運動がみられたり、顔面筋の強い攣縮発作がみられれば陽性と判断します。健常者では10 秒間に30回以上の随意瞬目が可能です。

②軽瞬テスト

軽くてテンポの良い瞬きをしてもらうと、眉毛部も動く強い瞬きになったり,けいれん様の瞬きが生じたり、瞬きそのものが出来なければ陽性と判定します。

③強瞬テスト

眼瞼を力強く閉じさせ、その後開瞼させます。この動作を反復させると開眼できなくなったり、強い顔面筋の攣縮がみられれば陽性と判断します。

開眼困難になる疾患

①開瞼失行症(開眼失行症,apraxia of lid-open- ing)

上眼瞼を動かすことが出来ず、開眼できない状態をいいいます。強制的に開眼させれば、開眼状態を維持でき、瞬目は可能です。しかし閉眼してしまうと開眼できなくなります。閉眼した状態から開眼しようとすると前頭筋の力によって眉毛が上昇するのに対して、眼瞼けいれんでは眉毛は眼窩上縁より下降しています。(Charcot 徴候)。

②眼瞼下垂

 

治療(内服薬)

抗痙攣薬clonazepam(リボトリール) carbamazepine(テグレトール) sodium valproate(デパケン)
抗コリン薬trihexyphenidyl(アーテン)
抗不安薬diazepam(セルシン®,ホリゾン®) clotiazepam(リーゼ®)
抗痙縮薬bacrofen(ギャバロン®)
選択的セロトニン再取り込み阻害薬  (SSRI)                paroxetine(パキシル®)  fluvoxamine maleate (デプロメール、ルボックス)

ボトック

欧米では第一選択として扱われています。日本でも上肢・下肢痙縮、片側顔面けいれん、痙性斜頸、小児脳性麻痺患者の下肢痙縮に伴う尖足と多くの疾患に適応されています。添付文書ではA型ボツリヌス毒素として初回に1.25~2.5単位/部位を、1眼あたり眼輪筋6部位の筋肉内に注射します。片目あたり7.5-15単位、両眼合計15-30単位となります。施注後当日は揉む、擦るなどの機械的刺激は避け、洗顔、入浴は禁止する以外に日常生活に制限はありません。治療の副作用は注射部位の疼痛、浮腫、皮下出血、一過性の知覚過敏などがあります。他に浸潤効果が強く、閉眼不全となった場合は角膜潰瘍を起こすケースがあります。その際には人工涙液などの点眼剤を投与するなど適切な保湿を行います。また上眼瞼挙筋の麻痺による眼瞼下垂や下斜筋、外直筋の麻痺による複視や、内眼筋浸潤による複視、瞳孔散大、羞明などの報告もあるため下眼瞼耳側部投与では深部刺入には十分注意が必要です。ボツリヌス毒素の有効率は90%程度です。また効果は3ヶ月程度持続します。症状が再発したら再投与します。2 か月以内の再投与は避けるべきと言われています。また、再投与の際には初回投与量の2倍までの用量を用いることができます。