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頭部外傷-各論(びまん性軸索損傷)-
交通事故や転倒の際に、頭部に強い回転加速度がかかった外力によって脳の神経線維の断裂が起こることです。頭蓋内で出血を起こしたりするわけではなく、単に神経線維の断裂ですのでCT検査では、明らかな所見が見られません。それにもかかわらず重度の意識障害を示します。頭部外傷直後より昏睡状態が続いているにもかかわらず、画像的に異常がみられないのです。
症状
受傷直後から高度な意識障害を認めます。
画像
重症な意識障害があるにも関わらず、CTでは特段異常を認めません。MRIで微小な出血や浮腫をびまん性に認めることがあります。
治療
びまん性軸索損傷自体には有効な治療法は確立しておりません。明確な所見がないため、手術を行うことによる治療はできません。対症療法が治療の中心となります。死亡率は60%とされ、転帰は不良で、特に脳幹障害が認められると死亡率は特に高いです。救命できた場合でも、後遺症として麻痺や記銘力の低下などが見られます。