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脳疾患を知る

2-1
頭部外傷-各論(急性硬膜下血腫)-

強い力が頭部に急激に加わり、硬膜と脳との間に生じた血腫です。回転性の加速度により脳の移動が起こり、脳の表面に存在する血管(特に架橋静脈)が損傷を受け、硬膜の下に(つまり脳の表面)急速に血腫が形成される状態です。

さて硬膜下血腫・硬膜外血腫・くも膜下と色々な言葉が外傷を学ぶ際に出てきます。ここで一回言葉の意味を説明します。大事な脳を守るために何重にもバリアが張られています。外から順に

①皮膚②骨膜③頭蓋骨④硬膜⑤くも膜⑥軟膜

血腫が溜まる部位によって言葉が変わっているだけです。上の図ですと①皮膚②骨膜③頭蓋骨は言葉の説明に関係しないので、次は「膜」だけで説明します。膜は3つ存在します。

硬膜

くも膜

軟膜

の3つです。

骨の下に硬膜が存在し、その下にくも膜が存在、その下に軟膜があります。

 

つまり硬膜外といえば硬膜の外=骨と硬膜の間です

硬膜下といえば硬膜の下=硬膜とくも膜の間のことです。

 

くも膜下=くも膜の下で軟膜との間になります。

特徴

 

原因

高齢者の場合は比較的軽度の外傷などでも起こることがあります。しかし一般的には交通事故、転倒転落、スポーツによる頭部外傷、けんかで殴られるなど、中等症ー重度の頭部外傷で発症します。また社会問題化していますが、乳幼児に対する揺さぶりを契機として生じることがあり、これを「揺さぶられっこ症候群」と呼びます。

 

症状

急性硬膜外血腫とは異なり、受傷直後より意識障害を伴うことが多いです。意識障害以外に、頭痛、吐き気・嘔吐、けいれん、めまい、麻痺、感覚障害などがあります。高齢者の場合は比較的症状が軽く出て意識障害を伴わないケースも存在します。またアルコール飲用されている方に注意が必要です。

 

診断

頭部CTを用いて行われます。典型的な画像所見では、硬膜下にあたる部位に白い三日月状の血腫を認めます。また、大脳縦裂や後頭蓋窩に血腫が形成されることもありますが、この場合は中央に白く線状の血腫が確認されたり、テントに沿って白く血腫が確認されます。血腫が形成されると、血腫により脳組織が圧迫を受けます。脳組織が圧迫を受けている状態を反映して、脳全体が押しつぶされているように見えることもあります。(mass effectと呼びます)。

 

治療

受診時に意識清明かあるいは、意識障害が軽度でかつCTにて血腫による影響が少ないと判断される場合には、点滴などの保存的な経過対応となることもあります。しかし血腫サイズが大きく脳の圧迫が強い場合は緊急で開頭し、血腫を除去し出血点を止血します。脳の損傷程度がひどく術中に脳の浮腫が高度の場合が多く骨を戻さないで閉頭する事が多いです。手術後も、脳浮腫や頭蓋内圧上昇に対する治療を行います。術後低体温療法、脳圧降下剤の投与、けいれんや感染症の管理が行われることとなります。救命し得ても、硬膜外血腫に比べて神経学的予後や経過が不良な傾向があります。