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ボトックス(保険診療の対象疾患)
保険診療の対象疾患
①多汗症(腋窩) |
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②眼瞼痙攣 |
③顔面痙攣 |
④上肢痙縮・下肢痙縮 |
①多汗症
多汗症は、手、足、脇など局所的に多量の発汗がみられる疾患です。
原発性手掌多汗症:手のひらに大量の汗をかく症状
原発性腋窩多汗症:腋窩(わきの下)に大量の汗をかく症状
保険診療で行える治療は腋窩多汗症となります。手掌多汗症は自費診療扱いとなります。
(診断)
以下の2項目以上あてはまること
最初の症状がでるのが25歳以下であること |
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左右両方で同じように発汗がみられること |
睡眠中は発汗が止まっていること |
1週間に1回以上多汗の症状がでること |
家族にも同じ疾患の患者さんがいること |
わき汗によって日常生活に支障をきたすこと |
(ボトックス注射の概要)
効果が4~9ヶ月続きます(個人差あり)ので、夏のわき汗にお悩みの方は、夏前に施術していただくと、ひと夏を快適に過ごせることが期待できます。
冷却麻酔をしながら、痛みの少ない細い針で注射をします。
片側に10~15ヶ所の注射をします。
(ボトックス外来の通院回数)
保険適用のボトックス注射は、2回の通院が必要です。
1回目:診察と同意書ご記入→2回目:施術
(費用)
3割負担:約20000円 1割負担:約7000円
その他に、診察料がかかります。
②眼瞼痙攣
両目の周囲にある筋肉がご自身の意思とかかわりなく痙攣し、目を開けにくくなる疾患です。まぶたの開閉をコントロールする脳からの指令が正しく伝わらなくなって発症します。
詳しくはhttps://kuwana-sc.com/brain/1472/
以下のような症状を呈します
両側の瞼の痙攣 |
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瞼の不快感 |
まぶしい |
瞬きが多い |
眼を開けづらい |
瞼が下がる |
眼が乾く |
人や物にぶつかる |
③顔面痙攣
眼瞼痙攣と同じようにご自身の意志とかかわりなく痙攣が起こりますが、片側顔面痙攣ではほとんどのケースで顔の左右どちらか片方の筋肉だけに痙攣が起こります。
痙攣を起こす部位は、目の周囲、頬、口の周囲が多くなっています。
高血圧症や脂質異常症(高脂血症)など生活習慣病があると片側顔面痙攣発症のリスクが高いとされています。痙攣が起きやすい状況は、緊張している時、食事中、会話中、笑うなど表情が大きく変わった時です。診断にはMRIにおいて自身の脳の血管が顔面神経に接触していることが証明される事です。ボトックスで効果が得られない場合や根治を望む場合は開頭術で治療可能な疾患です。
詳しくはhttps://kuwana-sc.com/brain/1478/
ー上記2疾患の治療の流れー
(治療の概要)
効果は3~9ヶ月続きます(個人差があります)。
それぞれ下図の部位に注射します。
冷却麻酔をしながら、痛みの少ない細い針で注射をします。
(通院回数)
保険適用のボトックス注射は、2回の通院が必要です。
1回目:診察と同意書ご記入→2回目:施術
(費用)
3割負担:約12000円 1割負担:約4000円
その他に、診察料/検査代がかかります。
④上肢痙縮・下肢痙縮
脳卒中(脳出血・脳梗塞・くも膜下出血)、頭部外傷、脊髄損傷、多発性硬化症などの疾患を患った後に、筋肉が緊張しすぎて手の指が曲がったままになったり、下肢が突っぱって動かしにくくなったりしてしまう状態のことをいいます。
例えば、「手の指は握ったままで開かない」「肘が曲がったままで伸びない」「つま先で立っていて歩けない」「股が閉じる」「足がねじれて歩きにくい」などの症状により、日常生活に支障をきたしてしまいます。
上肢下肢の痙縮の軽減、関節可動域の増加、日常生活上の介助量の軽減に有効であります。また、定期的な反復治療を行うことにより、長期的な痙縮の改善効果が期待できます。
(治療の概要)
効果は3-4ヶ月続きます(個人差があります)。
上肢:合計250単位
下肢:合計300単位
が投与量の目安です。
(通院回数)
保険適用のボトックス注射は、2回の通院が必要です。
1回目:診察と同意書ご記入→2回目:施術
(費用)
上肢痙縮:3割負担:約52000円 1割負担:約18000円
下肢痙縮:3割負担:約60000円 1割負担:約21000円
その他に、診察料/検査代がかかります。
ボツリヌス療法の費用について、医療費助成制度を利用できる場合があります。詳しい医療費の負担については、実際の診療の際にご説明します。
上肢痙縮・下肢痙縮については以下を十分にご理解ください。
・ボツリヌス毒素は硬くなった筋肉を柔らかくすることで、適切なリハビリテーションを行いやすくするものであって動かなかった手足が動くようになるわけではありません。リハビリテーションと併用しなければ 効果はありません。
また筋肉がつっぱっていない人(痙縮がない方)は治療の対象となりません。
・効果の持続は、3ヵ月から4ヵ月程度です。効果の持続とリハビリテーションの量は相関しており、日頃からしっかり自主訓練ができている患者さんほど長く持続します。一回行えばそれで終わりの治療法ではなく、繰り返し定期的な投与とリハビリテーションの継続が必要な治療法です。
・脳卒中発症後、長いことストレッチなどがされておらず、動かされていなかった麻痺の手足は、筋肉そのものが短縮したり、関節が固まってしまいます。これらの方には筋肉を柔らかくしても効果が得られないので適応とはなりません。