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片頭痛発作重積
解説
日常生活を困難にするほどの片頭痛発作が72時間を超えて持続する場合、片頭痛が重積を起こしていると考えられます。このような場合の治療方針は『慢性頭痛の診療ガイドライン』によりますと以下の対策が推奨されています。
二次性頭痛の除外
補液にて嘔吐による脱水の改善と、治療薬による低血圧などの副作用に備える
制吐剤の静脈注射および筋肉注射:プロクロルペラジン(5-10mg)またはメトクロプラミド(10mg)
スマトリプタン3㎎皮下注(24時間以内の総投与量と頭痛再燃に注意)
ドロペリドール(2.5-2.75mg)静脈注射および筋肉注射(錐体外路症状に注意)
デキサメサゾン静注(4-10mg)
アロディニア 異常感覚
片頭痛患者が示す症状の中には、顔に風が当たるとピリピリする、髪を結んでいるのがつらい、枕に頭をつけたくない、といった通常では異常を感じないものに異常を感じる症状があります。これらは頭部アロディニアと呼ばれています。さらに脳が過敏な状態になると、手足のしびれやシャツの袖や靴下などが不快になることもあり、これは頭蓋外アロディニアに分類されます。
片頭痛は、血管の拡張と炎症が三叉神経に伝わることで起こる頭痛といわれています。三叉神経は顔の知覚を担っています。片頭痛で三叉神経を刺激された結果、顔の知覚までも過敏に反応してしまう現象です。この現象が三叉神経よりも更に中枢(脳側)の視床という部分まで伝わってしまうと頭蓋外のアロディニアが起きてしまうのです。アロディニアは片頭痛患者の60%に認められ、トリプタン製剤は効きにくくなると言われています。片頭痛発症20分以内にはアロディニアの出現はないとされているため、アロディニア発現前の早期の段階でトリプタン製剤を服用するが重要で、服薬タイミングの指導の徹底が重要です。