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眼科 脳神経外科
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脳疾患を知る

11-7
レビー小体型認知症ー治療ー

中核症状に対して

レビー小体型認知症および認知症を伴うパーキンソン病 (PDD)では、コリンエステラーゼ阻害薬の有効性が認められております。精神症状に対しては有意には達していないですが、一定の有効性が報告されています。DLBの認知障害に対して2017年のDLBガイドラインおよび日本の認知症疾患治療ガイドラインではコリンエステラーゼ阻害薬が推奨されています。

 

①ドネペジル

DLBにおける認知機能改善および幻視の改善効果が示されています。高用量負荷では介護負担の軽減効果も認められています。一方でPDDに対する認知機能改善効果も認められています。

 

②リバスチグミン ガランタミン

海外ではDLBの認知機能改善効果が示されています。日本では保険適応となっていません。

 

③メマンチン

注意力改善効果は示されていますが、認知機能改善効果は認められていません。レビー小体型認知症の特徴の一つに抗精神病薬に対する過敏性が認められます。そのため可能な限り非薬物療法が推奨されています。しかしながら現実問題として薬物療法の介在が必要な状況は必ずあります。

周辺症状に対して

①ドネペジル

レビー小体型認知症の認知機能障害に対する治療薬のドネペジルは周辺症状の改善に対して一定の効果が確認されています。レビー小体型認知症の幻覚、アパシー、妄想、うつに対して効果が認められています。また適応外使用ではありますがリバスチグミンの効果も報告されています。

 

②抑肝散

レビー小体型認知症の幻覚、妄想、うつ、不安症状に対して改善効果が認められています。抑肝散は錐体外路症状や抗コリン症状を認めることはないですが、低カリウム症候群には注意が必要です。

 

③メマンチン

レビー小体型認知症の妄想、幻覚、夜間行動異常、食欲異常に一定の効果を示します。

 

④非定型抗精神病薬

レビー小体型認知症の特徴の一つとして「抗精神病薬に対する重篤な過敏性」があります。つまり定型であろうが非定型であろうがレビー小体型認知症に使用するときは細心の注意が必要です。しかしながら定型抗精神病薬よりは非定型抗精神病薬の方がリスクは低く扱いやすいでしょう。非定型抗精神病薬の中では、錐体外路系の副作用が軽いクエチアピンやアリピプラゾールが比較的安全とされています。リスピリドンについては、精神症状や焦燥の改善を認めるようですが、悪化するケースも多いようです。オランザピンについても同様の報告です。

 

⑤クロナゼパム

レビー小体型認知症のレム睡眠行動異常に対してクロナゼパムは一定の効果が報告されています。他にも抑肝散、ラメルテリオン、ドネペジルで効果が認められます。

自律神経症状に対して

起立性低血圧

臥床中頭部挙上、弾性ストッキングなどの非薬物治療の他にはドロキシドパ、ミドドリン、フルドロコルチゾンなどの薬物療法が有効です。

 

便秘

酸化マグネシウム、ルビプロストン、センナ、センノシドなどを使用。

 

排尿障害

抗コリン薬の使用は認知機能の悪化があるためできる限り使用を控えるのが理想です。特にオキシブチニンは中枢での抗コリン作用で認知機能悪化を招くため使用禁忌です。前立腺肥大による排尿障害はアドレナリン遮断薬のウラピジルやナフトピジルを用います。

パーキンソニズムに対して

レビー小体型認知症のパーキンソニズムに対してはレボドパが推奨されています。ただし通常のパーキンソン病に比べると反応性は劣っています。運動症状の反応性は劣るにもかかわらず、精神症状増悪リスクは高まるため低用量で使用を留めるべきです。当然ですが、抗コリン剤の使用は控えるべきです。精神症状の悪化のみではなくジスキネジアなどの合併を招くため少量投与に留め、必要ならばドパミンアゴニストの少量併用を考慮すべきです。