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レビー小体型認知症ー画像所見ー
①頭部 CT・MRI
アルツハイマー型認知症とは異なり、海馬・海馬傍回は比較的保たれます。脳幹部の萎縮に対してVSRADを用いて、診断解析可能な場合もあります。
②MIBG 心筋シンチグラフィー
パーキンソン病およびレビー小体型認知症における広範な自律神経障害を反映して、交感神経機能を評価します。123I‒metaiodobenzyl- guanidine(MIBG)の心筋への集積低下が、パーキンソン病およびレビー小体型認知症と他の変性疾患に伴うパーキンソニズムを呈する疾患(多系統萎縮症候群・進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症)との鑑別に有用で2012年3月から保険審査上認められています。
③ドパミントランスポーター(DA‒T)SPECT
DA‒Tは黒質線条体ドパミン神経の終末部より放出されるドパミンの再取り込みを行っている膜蛋白質です。ドパミン神経の変性を反映して、線条体のDA‒Tはパーキンソン病およびレビー小体型認知症において発現量が低下するため線条体への集積が低下します。パーキンソン病およびレビー小体型認知症と本態性振戦・黒質線条体の神経変性を伴わないパーキンソン症候群・アルツハイマー型認知症を鑑別するのに有用です。ただし他の変性疾患に伴うパーキンソニズムを呈する疾患(多系統萎縮症候群・進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症)との鑑別は困難です。また三環系抗うつ薬、SSRI、SNRIなどの薬剤はイメージング結果に影響を及ぼすため休薬が必要となります。コリンエステラーゼ阻害薬、レボドパ、MAO阻害薬は影響しません。また妊婦や授乳中の方には禁忌となっています。2014年から保険審査上認められています。
-MIBG 心筋シンチグラフィーおよびドパミントランスポーターシンチグラフィを組み合わせると感度96%特異度90%で鑑別できるとの報告もあります。-
④脳血流シンチグラフィ
アルツハイマー型認知症では後部帯状回、楔前部、後頭葉の血流低下が目立つのに対して、レビー小体型認知症では後頭葉・一次視覚野の血流低下が目立ちます。しかしながら楔前部、後部帯状回の血流低下を認める場合もあり、脳血流シンチグラフィだけで両者の鑑別は困難です。
αシヌクレイン
脳脊髄液中のαシヌクレイン値がパーキンソン病およびレビー小体型認知症において低下すると報告されているが、有用性は確立されておりません。その一方、脳脊髄液中のリン酸化αシヌクレイン、αシヌクレインオリゴマーが上昇する報告もあります。またアルツハイマー型認知症同用に脳脊髄液中のAβ42値の低下報告もあります。