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脳疾患を知る

6-1
ベンゾジアゼピン系睡眠薬  総論

概要

さて上述ではベンゾジアゼピン系のお薬について怖いことも書きましたが、それでもなお日本国内で現在使われている睡眠薬の中心は『ベンゾジアゼピン系』の睡眠薬です。ベンゾジアゼピン系睡眠薬の中でも改良や開発が進み、副作用も軽減され、様々なタイプの不眠に対応するとができます。副作用のないお薬はありません。要は許容範囲の副作用で最大の効果を引き出すのが主治医の役目です。副作用と対策を知って上手に薬を使いこなす事が大事です。

利点

 

①即効性の効果

ここが最大のメリットです。毎日飲み続けジワジワ効くタイプの薬とは異なり、急に効いてストンと睡眠に入ります。

 

②種類が豊富

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は非常に種類が多いです。睡眠薬は後述しますが、睡眠障害のタイプによって薬を使い分けます。(入眠困難なら作用時間が短い薬・早朝覚醒には作用時間が長い薬など)よって効果時間が超短時間のものから長時間まで種類が豊富なため使い分けが多様です。

欠点

デメリットの解説をする前にベンゾジアゼピンがどのように催眠効果をもたらすのか簡単に解説します。なぜならばベンゾジアゼピン系睡眠薬のデメリットを理解しやすいからです。脳内にはGABAというリラックスする作用の物質があります。簡単に説明するとベンゾジアゼピン系睡眠薬はこのGABA の働きを強くします。そのため以下に示す4つの作用を呈します。

 

これらの作用によって以下のデメリットが生じます。

 

①健忘

睡眠薬を内服した後の記憶がなくなる事です。自分では、すぐに寝られたつもりですが記憶にない間に色々な事をしてしまうことがあります。起床すると全く記憶にない行動のあとが見られます。例えば、覚えのないカップラーメンのたべたあと、覚えのない電話履歴、覚えのない友人や家族からの心配の電話などです。効果の時間が短いベンゾジアゼピン系睡眠薬に生じやすく、超短時間作用型のハルシオンでこの健忘を遊ぶ若者が増え「ハルシオン遊び」などという社会問題が起きました。アルコールと併用すると更に健忘を生じやすくなります。

 

②耐性・依存

最大のメリットに「即効性の効果」がありましたが、それゆえに飲み続けると体が慣れてしまい同じ量では効果が感じられなくなる耐性。薬がないと不安で寝る事が出来なくなる精神依存。薬がないと更に眠れなくなる身体依存の問題があります。

 

③ふらつき

ベンゾジアゼピン系睡眠薬の作用の一つに筋肉の緊張を取る筋弛緩作用がありました。そのため筋肉の緊張が取れるのですが、フラフラしてしまったり翌朝にも持ち越してふらつきを自覚する事があります

 

④持ち越し

睡眠薬は睡眠中だけ効いてくれれば良いのですが、翌朝まで眠気が続いてしまうことがあります。これを持ち越しと言います。つまり朝になって起きたい時間になっても睡眠薬の効果が持続して起きられない、ボーッとするなどの症状が続いてしまう症状です。

 

⑤認知機能低下

高齢者ですとベンゾジアゼピン系睡眠薬は物忘れを悪化させる事があります。