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脳疾患を知る

6-1
睡眠薬の種類と歴史

睡眠薬の種類

睡眠薬は『作用』から2つに分類、更に『構造』から5つに分かれます。

 

「内服して短時間のうちに脳の機能を低下させる事によって眠りに導く薬」

「毎日飲んで自然な眠気を徐々に強くする薬」

 

睡眠薬に対して悪いイメージを持ってる方は多いと思います。確かに古い薬の中には様々な副作用や悪用例が多発する薬が存在していました。しかし改良に改良が重ねられ副作用が減った薬が次から次へと販売されます。そして副作用の強い薬は自然淘汰されていきます。例えばバルビツール系の睡眠薬は副作用が強かったため、現在では睡眠薬としてはほとんど使用されておりません。当院でも使用することはありません。次に主流になったのがベンゾジアゼピン系の薬です。現在でも多く処方されていますし、20年前までは睡眠薬の中心的な立場に存在しました。ベンゾジアゼピン系はもともと抗不安薬といって不安を取り除くお薬として開発されたのですが、入眠作用・抗不安作用がある一方で、記憶障害やふらつき、依存・耐性の副作用が認められます。海外では使用が減少傾向にあります。また健忘を楽しむ「ハルシオン遊び」という悪名で社会問題になったハルシオン・犯罪に使用されるケースが多く諸外国では違法薬剤として扱われているサイレースはベンゾジアゼピン系睡眠薬に分類されます。しかし入眠作用はとても強くて実際に他の種類のお薬よりも効果を感じる点では人気があり、使い方によっては優れた面も多数あります。これらの問題点から副作用を軽減したお薬の開発が進みました。まず登場したのが非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。ベンゾジアゼピン系睡眠薬と比べると、依存性や副作用が軽減され、使い勝手のよい睡眠薬として扱われています。日本では2000年頃から発売されシェアを伸ばして、「内服して短時間のうちに脳の機能を低下させる事によって眠りに導く薬」では中心的な立場にあります。副作用は減少しましたが、更に別な方向から睡眠を得るための薬の開発が続きました。別な方向というのが「毎日飲んで自然な眠気を徐々に強くする薬」です。2010年から販売されました。メラトニン受容体作動薬とオレキシン受容体拮抗薬です。「自然な眠気を徐々に強くする薬」と聞くと非常に良いフレーズです。副作用も少なく最大の眠気を得られる夢の薬のようにも感じますが、実際は入眠効果は不十分な事が多く、効果が現れるのに時間がかかったり効果が出現したら眠気が翌日も残るといった副作用も認められます。またこれらのお薬とは別に睡眠障害の基礎疾患や睡眠障害のタイプによっては抗ヒスタミン薬、抗うつ剤、抗精神病薬をうまく扱えば睡眠薬よりも睡眠を適切に導入する事が可能なこともあります。以上をまとめますと上の図のような構図で睡眠薬を使い分けていきます。

睡眠薬の歴史