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7-4
降圧ー薬物療法 カルシウム拮抗薬ー

カルシウム拮抗薬

カルシウム拮抗薬は代表的な降圧剤で、「血管を拡張させて血圧を下げる」と非常にシンプルで切れ味も良く副作用が少ないお薬です。血圧を下げることだけを考えればカルシウム拮抗薬に勝る薬はありません。一方で同じ第1選択薬のACE阻害薬・ARBは降圧目的以外に臓器を守る保護作用があります。脳血管・心臓・腎臓などの臓器を保護する力を持ち合わせています。良いことだけを聞くと非常に優秀なお薬に感じますが、カルシウム拮抗薬と比較すると副作用の問題があります。またACE阻害薬・ARBは妊娠、高カリウム血症、両側腎動脈狭窄のある方には使用が出来ません。また腎機能悪化に注意が必要です。またカルシウム拮抗薬のような切れ味はないため、薬の効果が現れるのに少し時間がかかります。つまりカルシウム拮抗薬は「The・降圧剤」として最も使いやすいお薬です。実際、日本では最も処方されている降圧剤です。

カルシウム拮抗薬の使い分け

カルシウム拮抗薬は強力な全身血圧低下作用を示すことから、降圧療法の第一選択薬の一つとして使用されています。しかしカルシウム拮抗薬にも多くの種類があり、病状によりそれぞれを使い分ける事が推奨されています。細胞外カルシウムイオンの流入に関わる膜電位によりL型・T型・N型の3つに分類されます。カルシウム拮抗薬の使い分けには、どのカルシウム拮抗薬がT型やN型に作用するのか把握しておく必要があります。

まずは基本の作用機序であるL型Caチャネルの遮断について。Ca拮抗薬はL型Caチャネルの結合部位の違いから下記の3つに分類されます。

①ジヒドロピリジン系(DHP)

末梢血管に選択性が高い

アムロジピン・ニフェジピン・ニカルジピン・シルニジピン

②フェニルアルキルアミン系(PAA)

心筋選択性が高い

ベラパミル(商品名:ワソラン)

③ベンゾチアゼピン系(BTZ)

DHPとPAAの中間

ジルチアゼム(商品名:ヘルベッサー)

 

降圧剤として処方頻度の高いジヒドロピリジン(DHP)系カルシウム拮抗薬に着目します。降圧剤としてのカルシウム拮抗薬はL型(ジヒドロピリジン系(DHP))を基本として

 

・L型+N型

・L型+T型

・L型+N型+T型

となります。

 

L型:

心筋、血管平滑筋に存在し心臓の収縮力を低下させ交感神経作用し脈拍数を低下させます。しかしながら腎臓への保護作用は認めず、糸球体内圧上昇作用があります。

N型:

腎臓の輸入・輸出細動脈に分布するN型カルシウムチャネルを抑制することによって、糸球体内圧低下作用を示し、尿蛋白減少効果も認められています。

T型:

血管平滑筋に存在し、持続的血管収縮を行います。また、心臓、腎臓、副腎、膵臓に存在し、心拍数増加、糸球体輸出細動脈収縮、副腎からのアルドステロン分泌に関与しています。そのため心拍数低下作用を示し、アルドステロン分泌低下作用も認められています。

つまりN型、T型カルシウム拮抗薬は血圧降下作用に加えて

 

1.腎臓保護・尿蛋白減少作用

2.反射性頻脈が生じにくい

3.下肢浮腫改善(N型)

の効果があるため降圧+腎臓保護を目的として処方されます。またN型カルシウム拮抗薬はL型カルシウム拮抗薬の副作用で浮腫が現れた場合に用いる事があります。

(具体的な薬剤名)

L型+N型を阻害するCa拮抗薬:

アテレック(一般名:シルニジピン)

 

L型+T型を阻害するCa拮抗薬:

カルブロック(一般名:アゼルニジピン)

ランデル(一般名:エホニジピン)

ニバジール(一般名:ニルバジピン)

 

L型+N型+T型を阻害するCa拮抗薬:

コニール(一般名:ベニジピン)