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眼科 脳神経外科
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脳疾患を知る

3-5
中核症状ー失行ー

失行

失行とは手や足など、運動を行う体の器官に異常がないのに過去に一度身につけた一連の動作を行う機能が低下することを失行といいます。手や指に問題がないにも関わらず食事や書字といった、日常の簡単な動作が行えなくなります。「運動可能であるにもかかわらず合目的な運動ができない状態」と定義されています。失行の確認の検査としては、ウェスタン総合失語症検査(WAB検査)の下位項目「行為」を行います。代表的な失行を説明してまいります。

 

 

肢節運動失行

運動麻痺や感覚障害がないにも関わらず、硬貨をうまくつかめなかったり、ボタンを上手にかけられなくなる症状です。脳の中心回という部分の障害です。 

 

観念運動性失行、観念失行

「個々の運動はできるが、複雑な一連の運動連鎖が必要な行為が障害される」と定義されています。個々の行動は正しいのですが、順序、対象を誤るといった場合が典型的です。紙やハサミの名前、使用方法も分かるのですが、「ハサミを使って紙を切る」「紙を折って封筒に入れる」といった一連の動作ができない状態です。物品の名前や用途を説明できるが、上手く使用ができないのが特徴です。左半球または両側頭頂葉後方領域に責任病巣があると考えられています。アルツハイマー病でも同様の症状が見られます。

 

口腔顔面失行

観念運動性失行が口や顔面に起こったもので、口腔や顔面に限った一連の動作が出来なくなります。例えば「口笛を吹けない」とか「舌打ちができない」などの症状が見られます。 

 

着衣失行

体と衣服を空間的に把握できず、衣服の上下、裏表の区別がつかない。「ボタンがかけられない」などの症状が出現します。右半球頭頂葉の障害で起こることが多いです。半側空間無視、空間無視によるものは含めず、純粋に体と衣服の空間的な把握が困難になります。

 

構成失行

操作の空間的な把握が困難になります。具体的には描画、平面的図形構成、立方体構成がうまくできません。積み木を組み合わせて形をつくることが困難となります。