眼科 脳神経外科
現在の呼び出し番号
現在の待ち人数
現在の待ち人数

脳疾患を知る

3-4
中核症状ー失語ー

失語とは脳の病気によって、言葉を司る言語中枢が障害されて、聴く・話す・読む・書くといった言語に関係する機能に障害が出る病気です。

失語との鑑別

失語と誤りやすい疾患が存在するため、最初に確認すべき事があります。代表的な鑑別疾患は意識障害、構音障害、せん妄、うつ病、統合失調症などです。意識障害やせん妄などを鑑別するのに見当識は保たれているかを必ず確認します。構音障害とは、口や舌、声帯など声を出すのに重要な役割を果たす部位に障害が生じ、うまく発声ができなくなった状態を指します。

失語症の分類

さて失語と言っても脳の障害される部位によって実に様々なタイプの失語が出現します。まず失語の中でも一番有名な2つの失語を解説します。ブローカ失語とウェルニッケ失語です。ブローカ失語は「言葉の理解は出来るが、言葉を発する事が出来ない失語」です。一方ウェルニッケ失語は「言葉の理解が出来ず、言葉を流暢に発する事が出来る(ただし理解が出来ないので意味不明の言葉です)失語」です。ウェルニッケ野からブローカ野を結ぶ連絡路が弓状束と呼ばれ繊維ですが、この連絡路が障害されると伝導失語を生じます。そしてこれら全てが障害される全失語から学んでみましょう。

 

 

ブローカ失語

運動失語とも言います。大脳のBroca野(Brodmann44野)の障害で出現します。「言葉の理解は出来るが、言葉を発する事が出来ない失語」です。自発言語が障害され、重症例ではまったく発語がみられないこともあります。発語のある場合でも努力を要し、言葉の流暢さに欠けるのが最大の特徴です。言葉の聴覚的理解面は比較的良好に保たれているのが特徴で、読み書きは、かな文字より漢字の方が良好であることが多いと言われています。

 

ウェルニッケ失語

感覚失語とも言います。大脳のWernicke野(Bordmann22野)の障害で出現します。「言葉の理解が出来ず、言葉を流暢に発する事が出来る(ただし理解が出来ないので意味不明の言葉です)失語」です。発話は流暢な割りに内容には乏しく、言葉の聴覚的理解面が著しく障害されるのが特徴です。発話では言い間違いが多く、意味不明な造語が目立ちます。流暢な多弁であり、障害の自覚に乏しいことが多いです。

 

伝導失語

ウェルニッケ野からブローカ野を結ぶ連絡路が弓状束と呼ばれ繊維ですが、この連絡路が障害されると伝導失語を生じます。流暢でという部分ではウェルニッケ失語同様ですが、理解が良好である点が異なります 。特徴は言葉の理解も発語も比較的良好ですが、言語表出の全て(自発語、呼称、復唱、音読、書字)音韻性錯語(似た音に聞き間違える 「えんぴつ」を「えんとつ」など)と聴覚的把持力の低下(聞いた言葉を短時間覚える能力低下)を特徴とする障害です。特に復唱が出来なくなります。

 

全失語

全失語とは、発語・呼称・理解・復唱・文字言語のすべての機能にわたって重篤な障害をきたす状態を言います。そして自発的に、何らかの反応を示そうとする点で、無言症と鑑別されます。

 

さて代表的な4つの失語を記載しましたが、他にも失語のタイプが存在します。フランス人ブローカの症例報告から遅れること十余年、ドイツ人ウェルニッケはブローカが指摘した第3前頭回は、言語運動の中枢であって、第1側頭回に言語の音の中枢があるとしました。そこが 障害された場合、言葉の音のイメージを失い、理解の障害を中心とする感覚性失語が生じると考えました。その後リヒトハイムが,ウェルニ ッケの考えをさらに発展させ、2人の考えはウェルニッケーリヒトハイム の失語図式として集大成されることになりました。こ れは、言葉を理解したり、考えを言葉で表現したり、言葉を復唱したり する際の情報の流れを図式化したものです。2つの言語中枢(運動言語中枢,感覚言語中枢)と概念中枢という 3つの中枢を軸に、それらを連絡する神経経路から構成されています。 そして、図式における障害位置に応じて 7つの失語が生じうると考えられた理論です。

超皮質性失語は復唱が良好であることが特徴で3つのタイプの症候群があります。

 

超皮質性感覚失語

流暢な会話だが、言語理解が出来ない失語のためウェルニッケ失語と似ていますが、復唱が可能な点がウェルニッケ失語との鑑別点です。表出面で特徴的な症状は語性錯語です。猿をゴリラと言ったり、犬を猫と言ったりします。責任病巣は、ウェルニッケ失語の原因となる大脳のWernicke野(Bordmann22野)より下方の側頭葉と、ブロー カ失語の原因となるより大脳のBroca(Brodmann44野)よりも前方の前頭菓と報告されています 。 

 

超皮質性運動失語

言語に対する自発性の低下が目立ちます。理解面は良好で、ブローカ失語の不全形という解釈もあります 。 責任病巣はブロー カ失語の原因となるより大脳のBroca野(Brodmann44野)の上方あるいは前方と言われています。復唱が可能な点がブローカ失語との鑑別点です。

 

 混合型超皮質性失語 

上記の2つの失語の特徴を併せ持ちます。復唱という機能を残してすべての言語機能が障害されます 。

 

健忘失語

全ての言語モダリティにおいて障害が軽度の失語症です 。中核症状は、言いたい語がとっさに思い浮かばない喚語困難です。例えば手術の術者がとっさにペアンが欲しいのにペアンという単語が思いつかず、「あれっ」「なんだっけ、あれ出して」「早く、あれっ」などど言う迂言と呼ばれる症状が特徴とされます 。 頭頂葉の角回が指摘されることが多いです。