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脳疾患を知る

3-1
認知症とは

認知症とは

認知症とは、「一度獲得された知的機能が、後天的な脳の機能障害によって全般的に低下し、社会生活や日常生活に支障をきたすようになった状態で、それが意識障害のないときにみられる」と定義されています。ここに記されている一度獲得された知的機能とは記憶、見当識、言語、認識、計算、思考、意欲、判断力などを含みます。意識障害のない時にみられるというのがポイントです。意識障害と聞きますと、意識を完全に失っている状態をイメージしますが、昏睡状態でなくとも、眠りがちになったり、会話や考えが混乱したり、集中力を欠いたり、明瞭に思考できない状態も含まれます。つまり老人性のせん妄状態や薬物や飲酒による酩酊状態も意識障害に含まれます。そのような状態にない中で一度獲得された知的機能が、脳の障害によって低下してる状態を認知症の定義としています。

さて認知症の定義が分かりましたが、具体的にどのような症状が出現するのでしょうか?認知症には大きく分けると2つの症状が現れます。一つは中核症状といい、もうひとつは周辺症状と言います。中核症状とは記憶障害を軸とする認知機能障害。周辺症状とは幻覚や妄想などの心理症状と、脱抑制等の行動異常のことを言います。

中核症状とは・・・

「今までは出来ていたことが出来なくなってきた」

「会話の理解が困難で、つじつまが合わない発言が増えた」

「日時、時間、場所が分からない」

「日常生活に支障をきたすようなもの忘れが頻回にある」

こうした症状が中核症状です。中核症状は記憶障害がメインですが、記憶障害・失語・失行・失認・遂行機能障害があげられます。それぞれについて解説して参ります。