12-4
慢性緊張型頭痛
概要
慢性緊張型頭痛の発作の頻度は3ヶ月を超えて 1ヵ月に15日以上 ( 年間 180日以上 )と規定されています。反復性緊張型頭痛が筋肉や筋膜の関与が問題であったのに対して、慢性緊張型頭痛には、中枢性要因(脳の筋肉の緊張コントロールや痛みを感じる脳のシステムの異常)が関係しているといわれています。筋肉をリラックスする能力に欠け、かつ痛みに感作されている状態です。反復性緊張型頭痛は肉体的ストレスによって引き起こされるのに対して、慢性緊張型頭痛は精神的ストレスの割合が大きいようです。うつ病、不安症、慢性疼痛との関連もあるようです。肉体的なストレスによる疾患というよりも心の疾患です。よって通常の痛み止めの薬が効かない、治療抵抗性のことが多いです。それどころか痛み止めを連用してしまい、『薬物の使用過多による頭痛』という別の病態を引き起こしている場合も多いです。慢性緊張型頭痛の頻度はそれほど多くはありませんが、加齢により増加するようです。また緊張型頭痛の方は片頭痛患者と比較して受診率が低いと説明しましたが、慢性緊張型頭痛の受診率は高率です薬剤依存の傾向も高いです。
特徴
・頭痛歴が10-20年の中年女性に多い
・治療に抵抗性
・日常生活に関係なく頭痛持続
・青年期に片頭痛・反復性緊張型頭痛・その両者を経験し、少しずつ頻度が増加
・慢性疼痛・うつ・不安症など共存
・きついヘルメットや帽子に締め付けられるような頭痛
・日常生活による増悪はしない
診断基準
A. 3ヵ月以上、平均1ヵ月に15日以上(年間180日以上)の頻度で発現する頭痛で、B~Dを満たす
B. 数時間ー数日、あるいは絶え間なく続く
C. 頭痛は以下の特徴の少なくとも2項目を満たす
1. 両側性
2. 性状は圧迫感または締め付け感(非拍動性)
3. 強さは軽度~中等度
4. 歩行や階段の昇降のような日常的な動作により増悪しない
D. 以下の両方を満たす
1. 光過敏、音過敏、軽度の悪心はあってもいずれか1つのみ
2. 中程度・重度の悪心や嘔吐はどちらもない
E. その他の疾患によらない
治療
反復性緊張型頭痛は肉体的ストレスが誘引であるのに対して、慢性緊張型頭痛は精神的ストレスの割合が大きいようです。うつ病、不安症、慢性疼痛との関連もあるようです。よって痛み止めの薬があまり効かない治療抵抗性のことが多いです。慢性緊張型頭痛は鎮痛薬があまり効きません。「頭が痛い」のではなく「心が痛い」のです。心的ストレスが疼痛感受部に投射したための痛みなので、当然消炎鎮痛薬は効きません。このような場合はセロトニン枯渇改善を促す抗うつ薬のアミトリプチリンが頭痛が軽減します。逆に消炎鎮痛薬を使いすぎると、かえって閾値が低下し、頭痛がとれにくくなる治療が困難な状況なのです。