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片頭痛と月経

片頭痛と月経

わが国における片頭痛の有病率は女性12.9%男性3.6%と女性が男性の3倍です。特に前兆のない片頭痛で男女差が大きいです。片頭痛で悩む女性の約半数が、片頭痛が月経と関連して起こることを自覚しています。実際に月経開始の2日前から月経3日目までに片頭痛発作を起こす人が多いことが知られており、その時期には通常より 強い頭痛が起こると訴える患者が多いです。これは女性ホルモン、特にエストロゲンが関連していると考えられています。

  • 月経時になぜ片頭痛が多いのか

小児期の片頭痛の有病率は男女差がありません。しかし初潮を迎えた後の女性の有病率が高くなります。また女性片頭痛患者の約半数は月経と関連して片頭痛が起こるのです。そして前兆のない片頭痛は妊娠6カ月を過ぎる頃から急に改善・消失することが多い事を考えると女性ホルモン(特にエストロゲン)の関与が疑われます。エストロゲン分泌量は、月経周期に伴って大きく変動し、排卵日と月経前に急激に低下します。このエストロゲン分泌量の急激な変動が片頭痛発作を引き起こすと考えられています。妊娠中はエストロゲンが上昇するので片頭痛が起こりにくくなります。しかし出産後はエストロゲンが低下するので1ヶ月以内に片頭痛は再発します。エストロゲンが片頭痛に大きく関係しています。エストロゲンは一酸化窒素放出・血管内皮性NO合成に関与し,脳血管拡張作用があります。そのためエストロゲン変動により片頭痛発作の頻度は大きく変わります。

月経時片頭痛の診断

国際頭痛分類では、

A1.1.1「前兆のない純粋月経時片頭痛」(月経2日前から月経3日目の間だけ片頭痛発作のある人)
A1.1.2「前兆のない月経関連片頭痛」 (月経のとき以外にも片頭痛発作のある人)
A1.1.3「前兆のない非月経時片頭痛」    (発作が月経に関係しないもの)

に区分されていますが、純粋月経時片頭痛の人は少なく、ほとんどの場合は月経関連片頭痛です。なお正確な診断には月経3周期のうち2回以上で認められる事を確認するため月経3周期にわたる頭痛の記録が必要となります。

月経時片頭痛の特徴

月経2日前から月経3日目までに起こる片頭痛はほかの時期の片頭痛に比べて、

 

痛みが強い

 

持続時間が長い

 

再発しやすい

といった特徴があります。市販の鎮痛薬では十分に効かないことも多いようです。また、月経に伴って毎月起こる可能性があるので、その時期が来るのを恐れるようになり、女性片頭痛患者の生活の質を格段に落としてしまうため重要な問題です。「慢性頭痛の診療ガイドライン」では片頭痛治療薬であるトリプタン系薬剤の使用が推奨されています。市販の鎮痛薬の効果が不十分で、生活に支障があれば、早めに医師に相談しましょう。