2-2
レストレスレッグ症候群(下肢静止不能症候群・むずむず脚症候群)
概要
レストレスレッグ症候群とは下肢静止不能症候群、むずむず脚症候群などとも呼ばれます。主症状は脚がむずむずする、皮膚に虫がはうような感じがする、じっとしていられなく歩き回らないと落ち着かないなど脚を中心として不快な感覚異常の症状が現れる病気を指します。こうした不快感は夜間に生じることが多く、不眠症につながる場合が多いです。
原因
脳内にあるドパミンと呼ばれる神経伝達物質の一つが異常を示すことから発症すると考えられています。他の原因疾患として、鉄欠乏によって引き起こされることもありFe、フェリチンの測定は重要です。またパーキンソン病・脊髄小脳変性症・多発性硬化症・ハンチントン病などの神経疾患や関節リウマチやシェーグレン症候群、強皮症などの膠原病、糖尿病、甲状腺機能障害、腎不全、妊娠、うつ病、線維筋痛症などと関連して発症することもあります。多くの抗うつ薬は,RLS症状を悪化させることが報告されています。抗うつ薬(特にSSRI、venlafaxine, 四環系抗 うつ薬)、抗精神病薬、リチウム薬、オピオイド離脱は症状を喚起します。
Fe フェリチン |
---|
パーキンソン病 |
脊髄小脳変性症 |
多発性硬化症 |
ハンチントン病 |
関節リウマチ |
シェーグレン |
糖尿病 |
甲状腺機能障害 |
腎不全 |
うつ病 |
線維筋痛症 |
抗うつ薬(特にSSRI、venlafaxine, 四環系抗 うつ薬)、抗精神病薬、リチウム薬、オピオイド離脱 |
症状
中核症状は、「下肢を動かさずにはいられない衝動)」です。多くの場合下肢の異常感覚を伴います。特に夕方から夜間に生じるあるいは増悪するため不眠の原因となる事も多いです。逆に朝のに症状が出現することは稀です。安静によって増悪、運動により改善するの最大の特徴です。多くは,意識的もしくは無意識に運動による改善を図っています。寝床で脚を絶え間なく動かす、歩きまわる、脚をさする叩くなどで改善を図ります。実際に運動時は症状が緩和します。これら症状のため患者は「寝床中でじっと出来なくて寝つけない」という訴えが多いです。他には「飛行機内で座ると脚を動かしたくなりウズウズする」などの訴えもあります。
他に周期性四肢運動とは、睡眠中に下肢が周期的に短く動く反応をいいます。終夜睡眠ポリグラフィにおける下肢表面筋電図において、持続時間0.5~10 秒、5~ 90秒間隔、8μV以上の振幅増加を伴う下肢運動が4 個以上連続して出現するものを言います。
診断基準
①脚を動かしたいという強い欲求が存在し、不快な下肢の異常感覚に伴って生じる
②静かに横になったり座ったりしている状態で出現、増悪する
③歩いたり下肢を伸ばすなどの運動によって改善する
④日中より夕方・夜間に増強する
ー診断を補助する特徴ー
①家族歴
②ドパミン作動薬による効果
③睡眠時のperiodic leg movementsが睡眠ポリグラフ検査上有意に多く出現
診断
症状からの診断は容易ですが、二次性下肢静止不能症候群は必ずルールアウトが必要です。そのためパーキンソン病・脊髄小脳変性症・多発性硬化症・ハンチントン病などの神経疾患や関節リウマチやシェーグレン症候群、強皮症などの膠原病、糖尿病、甲状腺機能障害、腎不全、妊娠、うつ病、線維筋痛症などの確認が必要です。また抗うつ薬(特にSSRI、venlafaxine, 四環系抗 うつ薬)、抗精神病薬、リチウム薬、オピオイド離脱の確認も重要です。
採血項目)
一般採血項目+BUN・Cre・Fe・フェリチン・TIBC・RA因子・抗SS-A.B抗体など
画像検査)
頚部・腰部レントゲン・頭部・頚椎MRI・腰部MRI
生理学的検査)
・PSG・SIT
・末梢神経伝達速度検査(神経筋疾患が疑われる場合)
・脈波伝搬速度検査(動脈硬化性疾患が疑われる場合)
治療
非薬物療法
軽症例では非薬物療法改善するケースもあります。
(1)睡眠環境を整える
(2) 誘発因子となりうる嗜好品(アルコール、喫煙、カフェインなど)の中止
(3) 症状を増悪しうる薬物(抗うつ薬・リチウム・抗ヒスタミン薬・抗精神病薬など)を中止
(4)運動は規則正しく中程度に指導
これらにて改善しない場合薬物療法を行います。
薬物療法
(1)ドパミンアゴニスト(dopamine agonist)
ドパミン作動薬による治療合併症や副作用の発現を予防するためにも、1 日の投与量は最小用量から開始し、効果発現の最小量を維持量とし、就寝1~3 時間前に投与します。注意すべき副作用は、麦角系は心臓弁膜症・胸膜 肺線維症があります。非麦角系眠気があります。よってドパミンアゴニストの第一選択は非麦角系です。共通して生じる副作用は嘔気があるためドンペリドン1錠を併用します。幻覚・妄想・ジスキネジアなどの出現時には漸減中止します。非非麦角系(ビ・シフロール 0.125~0.75mg/day・レキップ1.5~2mg/dayなど)
(2)ドパミン
Levodopaは短時間作用型のため0.5~2 時間で最高血中濃度に達します。また血中半減期は1~3時間で、即効性はあるが半減期が短い薬物です。長期使用や高用量使用によってaugmentationや early morning reboundを起こしやすいため治療の基本薬としません。間歇型で必要時のみに使用 する場合や、急速に症状を改善させる必要があるときに限定されます。
(3)ガバペチン エナカルビル(レグナイト® 錠)
上記ドパミン作動薬のレストレスレッグ症候群に対する有効性は確立されたものであり、基本的には第一選択薬としてはドパ ミン作動薬が推奨されています。しかしながら長期服用に伴い効果の減弱や、早い時間の増悪などの問題が報告されています。また、嘔吐などの消化器症状が認められることもあります。治療抵抗性レストレスレッグ症候群は他のドパミン作動薬への切り替えや、ガバ ペンチンへの切り替えもしくは追加投与などが推奨されています。ガバペンチン エナカルビル(レグナイト® 錠)は、ガバペンチンのプ ロドラッグです。ガバペンチンは腸吸収の個人差が大きいためプロドラッグがその欠点を改善している訳です。中等度から高度の特発性レストレス レッグス症候群を適応症として、本邦では 2012年1月に承認されています。
軽症・間歇型
1)非薬物療法
2)低フェリチン血症(血清フェリチン値< 50ng/ml)→経口鉄剤
3)薬物療法:少量のドパミンアゴニスト(プラミペキソール:ビ・シフロール錠0.125mg~0.5m/日)またはクロナゼパム0.5~2mg/日
中等症・重症
1)非薬物療法
2)低フェリチン血症(血清フェリチン値< 50ng/ml)経口鉄剤
3)薬物療法
1 ドパミンアゴニスト(プラミペキソール:ビ・シフロール錠0.125mg~0.5m/日)
RLS症状と不眠の両者を同時に治療するとき
(タリペキソール:ドミン 0.4~0.8mg 就寝前投与)
2 単剤効果不十分クロナゼパム併用
0.5~2mg/日 治療効果は報告者によって左右しますが、不眠の強い例には適応があります
3 併用効果不十分ガバペチン エナカルビル(レグナイト® 錠)併用
上記ドパミン作動薬のレストレスレッグ症候群に対する有効性は確立されたものであり、基本的には第一選択薬としてはドパ ミン作動薬が推奨されています。しかしながら長期服用に伴い効果の減弱や、早い時間の増悪などの問題が報告されています。また、嘔吐などの消化器症状が認められることもあります。治療抵抗性レストレスレッグ症候群は他のドパミン作動薬への切り替えや、ガバ ペンチンへの切り替えもしくは追加投与などが推奨されています。ガバペンチン エナカルビル(レグナイト® 錠)は、ガバペンチンのプ ロドラッグです。ガバペンチンは腸吸収の個人差が大きいためプロドラッグがその欠点を改善している訳です。中等度から高度の特発性レストレス レッグス症候群を適応症として、本邦では 2012年1月に承認されています。
有効用量は800~1,800mg/day です。
また貧血の有無を問わず低フェリチン血症の症例は、RLS症状の増悪と関連すること、ドパミン作動薬治療中であればaugmentation発症リスクを高めることから血清フェリチン値が50ng/ml以下の例では経口鉄剤を投与すると良いと言われています。
腎機能低下ロピニロール:レキップ錠0.25mg~1mg~2mg肝臓で代謝されます。半減期は6時間です。有効用量は1.5~2mg/day就寝1~3時間前投与。