12-5
前頭側頭型認知症ー診断基準ー
1.(行動異常型)前頭側頭型認知症
①簡易的診断基準
以下のA-Fの中で3項目以上満たす
A脱抑制
B無気力・無関心
C共感・感情移入欠如
D常同的、強迫的行動
E食習慣変化
F特徴的認知機能障害(記憶と視空間認知は保たれ、遂行機能障害の存在)
②FTDC診断基準
I・神経変性疾患
次のような症状が必ず存在しなくてはならない.
A・行動ならびに/または認知の緩徐進行性の悪化を示す.
II・Possible bvFTD
以下の行動/認知の症状(A‐F)のうち3つが必ず存在しなくてはならない。それら症状は,単発または稀な出来事ではなく,持続的または繰り返し認める必要がある.
A.早期からの行動の脱抑制(以下のうち一つは認める)
A-1. 社会的に不適当な行動
A-2. マナーや礼節の低下
A-3. 衝動的、短絡的、または不注意なふるまい
B. 早期からの無関心または無気力(以下のうち一つは認める)
B-1. 無関心(アパシー)
B-2. 無気力
C. 早期からの思いやりまたは共感の低下(以下のうち一つは認める)
C-1. 他者の要求や感情に対する反応の減少
C-2. 社会的な興味や他者との交流、または人間的な温かさの減少
D.早期からの保続的,常同的,または強迫的/儀式的な行動(以下のうち一つは認める)
D-1. 単純な反復動作
D-2. 複雑な、強迫的または儀式的な行動
D-3. 常同言語
E. 口唇傾向や食習慣の変化(以下のうち一つは認める)。
E-1. 食事嗜好の変化
E-2. 過食,飲酒または喫煙量の増加
E-3. 口唇による探索または異食症(食べられないものを食べる)
F. 神経心理学的プロフィール:比較的保持された記憶や視空間機能と実行/生産的な機能の障害(以下のすべてを認める)。
F-1. 実行機能課題の障害
F-2. エピソード記憶が比較的保たれる
F-3. 視空間技能が比較的保たれる
III.Probable bvFTD 以下(A-C)が必ず存在しなくてはならない.
A.Possible bvFTD の診断基準を満たす
B.有意な機能低下を示す(介護者の報告か Clinical Dementia Rating Scale または Functional Activities Questionnaireスコアによる)
C.画像所見が bvFTD と一致している(以下のうち一つは認める)
C-1. MRIないしCT における前頭葉ならびに/または側頭葉前部の萎縮
C-2. PETないしSPECTにおける前頭葉ならびに/または側頭葉前部の血流低下や代謝低下
2.意味性認知症
物品呼称と単語理解の障害を中核症状とする進行性の失語症で、発語は流暢で復唱も正常で
す。構成失行や視空間失認、失算などの頭頂葉症状は認めません。物品呼称と単語理解は、生
活における親密度の低いものの著明にみられ、正しい名称を与えても問い返します。
(1)必須項目:次の2つの中核症状の両者を満たし、それらにより日常生活が阻害されている。
A.物品呼称の障害
B.単語理解の障害
(2)以下の4つのうち少なくとも3つを認める。
A.対象物に対する知識の障害(特に低頻度/低親密性のもので顕著)
B.表層性失読・失書
C.復唱は保たれる。流暢性の発語を呈する。
D.発話(文法や自発語)は保たれる
(3) 高齢で発症する例も存在するが、70歳以上で発症する例は稀である。
(4) 画像検査:前方優位の側頭葉にMRI/CTでの萎縮がみられる。
(5) 除外診断:以下の疾患を鑑別できる。
1) アルツハイマー病
2) レヴィ小体型認知症
3) 血管性認知症
4) 進行性核上性麻痺
5) 大脳皮質基底核変性症
6) うつ病などの精神疾患
(6) 臨床診断:(1)(2)(3)(4)(5)の全てを満たすも