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妊娠中の注意点
妊娠中期ー後期の注意点
妊娠4週から7週末までは「絶対過敏期」と言われています。主要器官が分化するため、催奇形因子に対し最も敏感な時期に当たります。この時期にヒト胎児に対し催奇形性のある薬を飲んだ場合が問題になります。この時期は原則として積極的な薬物投与は行いません。妊娠8週から妊娠11週末までは、「相対過敏期」と言われます。主要器官の発生は終了しているものの、顔面や性器の分化が続いている時期で、薬剤の種類によっては問題となります。妊娠16週以降は器官の分化は完了しているため、催奇形性は問題になりませんが、薬による胎児機能障害(胎児毒性)が問題になります。
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FDA(アメリカ食品医薬品局)カテゴリー
以前は妊娠中の薬物投与に関する基準として、FDAのカテゴリー分類がありました。FDA薬剤胎児危険度分類基準は、A、B、C、D、Xの5段階のカテゴリーからなり、Aのほぼ安全からXの絶対禁忌まで危険度に順じた分類がされています。しかし2015年廃止になりました。現在は製薬会社各社に、これらの情報を記述式で提示することが義務づけられていますが、情報は不足しております。
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オーストラリア分類
オーストラリア医薬品評価委員会・先天性異常による分類です。FDAカテゴリー基準と同様、大きくA、B、C、D、Xの5段階のカテゴリーに分類されます。FDAと比較して人に関するデータは過去の妊婦の実績として評価している点です。
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虎ノ門病院の基準
虎ノ門病院では、妊娠中における薬の危険度を点数化しています。この基準は薬の危険度だけに注目して評価しています。疫学調査、症例報告、動物実験の順で重要度を決めています。さらに、服用時期が点数化され、これらの積による総合的な危険度の評価が可能となっています。