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眼科 脳神経外科
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脳疾患を知る

16-1
神経原線維変化型認知症

神経原線維変化型認知症とはSD-NFTとも呼ばれアルツハイマー型認知症と同様のneurofibrillary tangle (NFT)が海馬傍回、海馬(CA1>CA2)を含む海馬領域に多量に沈着する一方で老人斑はほとんど認めらない認知症です。神経原線維変化の構成タンパクは3リピートおよび4リピートです。アポリポタンパクE遺伝子においてε4アリルがアルツハイマー型認知症と比べ少ない一方でε2の頻度が高いとされます。

臨床症状)

発症年齢は80~90歳と後期高齢者に多いです。緩徐な記憶障害で発症し、他の認知機能や人格は保たれます。つまり言語理解や意思の疎通は保たれるため認知症と気づかれないケースも多いです。失語、失行、失認などの大脳巣症状は伴いません。MRIでは海馬領域の萎縮と側脳室下角の拡大を認め、その割に大脳皮質のびまん性萎縮は軽度です。嗜銀性顆粒性認知症も同じく高齢発症のタウパチーに分類されるが神経原線維変化型認知症と共通点が多いが、易怒性、行動異常などで鑑別可能です。また嗜銀性顆粒性認知症ではMRI上内側側頭葉萎縮が非対称であることや前方優位(神経原線維変化型認知症は後方優位)であることが鑑別点になります。治療はドネペジルなど症候改善薬を用いることが多いですが、時に不安、焦燥など喚起することがあり注意が必要です。